公務員の副業として人気の高いアパート経営。
でも制限付きの副業なので、手広く経営したいという願望がある方にとってはちょっと物足りないかもしれません。
そんな時ふと、
「アパートを妻名義にすることで公務員の副業の制限を回避できるんじゃないか?」
と思い付く方もいらっしゃるかと思います。
公務員が副業でアパート経営をするには制限がある
人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用についてにおいて公務員によるアパート経営のルールが規定されています。
そのルールというのが以下になります。
- その①:所有してもよいのは4棟9室まで
- その②:家賃収入の総額は年額500万円まで
所有してもよい物件数も収入面にも制限を課しています。
こうしてみると、公務員のアパート経営には限界があるのでは?と不安になりますよね。
確かに、公務員であるあなたには上記のような制限がありますが、
あなたの奥さん(ここでは公務員でないと仮定します)名義でアパート経営をするなら、上手いことすり抜けられるのでしょうか?
いわゆる、法の抜け道ですね。
でも、すり抜けたとしてもその先に悪いことが立ちはだかる可能性はないのでしょうか?
公務員が妻名義でアパート経営を始めるメリット・デメリットを詳しくみていきたいと思います。
妻名義でアパート経営をすることで得られるメリット
➤保有してもよい棟数などに制限がない
これは真っ先に挙げられる一番大きなメリットでしょう。
やり方がせこいような気もしますが、そういうルールなのですから何も悪いことはしていません。
あなたは順調にアパート経営を拡大していき、持てる棟数、または家賃収入の限界まで達しました。
- さらに経営を拡大したい…
- でも規則があるから自分ではどうしようもできない…
そんなときは奥さんに一役買って出てもらいましょう。
妻名義でさらにアパートを購入しても、あなた名義での棟数や家賃収入が増えるわけではありません。
ですので、規則に反することなく経営を拡大できるということなんですね。
➤節税になる
次に挙げられるメリットは税金面です。
個人に適用する所得税率の決め方は、その人の合計所得金額によって決まります。
たとえば、あなたが公務員としての所得が500万円、アパート経営の所得が100万円だとしましょう。
すると、合計で600万円です。所得金額が600万円の人に対する税率は20%です。
よって、100万円に20%をかけた20万円が所得税としてもっていかれます。
しかし、あなたがアパートの名義を妻にしていたらどうでしょう。
妻の所得はアパート経営の100万円だけだとします。
すると、所得金額は100万円です。所得金額が100万円の人に対する税率は5%です。
よって、100万円に5%をかけた5万円が所得税としてもっていかれます。
妻名義でアパート経営するだけで15万円の得になりましたね。
国税庁が発表している所得税の税率をぜひ参考にしてみてください。(参照:国税庁 所得税の税率)
少しでも税金が減るようにアパートを配分して所有するというのも手です。
➤融資が受けやすくなる
アパートを購入するときにはまとまったお金が必要です。
金融機関から融資してもらうことも少なくないでしょう。
その融資が受けやすくなるのも、妻名義にしておくことの一つのメリットです。
というのも、
「この家庭は旦那も妻も事業が上手くいっている。となると、万が一片方がダメでも片方から取ればいいや」
となり、貸したお金を回収しやすいと判断されるからです。
(ただし、不動産経営で利益が出ていることを前提として書いています。)
では、アパート経営を妻名義にすることにはどんなデメリットがあるのでしょうか?
妻名義でアパート経営をすることで生じるデメリット
➤離婚したらアパートは妻のもの
仲の良い夫婦であれば、こんなことは何のデメリットにもならないと思いますが、人生何があるか分かりません。
仮に、離婚したときのことを考えてみましょう。
たとえそのアパートはあなたが汗水流して苦労して稼いだお金で購入したものでも、名義上は妻のものです。
離婚後、アパートは妻のものになります。
もしこんなことになってしまったら、妻名義にするんじゃなかった…と後悔の念に苛まれることでしょう。
アパート経営をするなら夫婦円満が何よりです。
➤妻が配偶者控除から無駄に外れてしまう
先述した節税のメリットはあくまでも、不動産経営で収益が出ている場合に得られるメリットです。
もし妻名義にした不動産で利益が出なかった場合、無駄に妻が配偶者控除から外れて、かえって支払う税金が増えるなんてこともありえます。
経営計画をしっかり練って、利益が出だしたころから妻名義にするなどの工夫が必要です。
現在の配偶者控除は150万円までです。
家賃収入が150万円を超えただけで利益はあがっていないと損をする可能性があります。
➤アパート経営のいろはを教えるための手間がかかる
夫婦どちらともアパート経営のあれこれを知らないで経営を始める夫婦は少ないと思います。
どちらかが経営に関する知識を持った上で、経営に取り組むことと思います。
この記事を読んでおられるのが、アパート経営に興味があるご主人方である場合は特に、
「妻は経営に関することはなにも知らないけど私はある程度知っている」というケースが多いように思われます。
そんなとき、妻に
「アパート経営するときに、君の名義にした方がいろいろお得だから協力して」
と言って快く引き受けてくれれば問題ないのですが、
やはり家族を巻き込むにはそれ相応に説明をする必要がありそうです。
- 妻名義にした方がいい理由
- 万が一何か問題が起きたときに公務中の自分に変わって対応してくれる妻が取るべき対処法
を教えるなど、自分が得た知識を奥さんにも共有する作業は避けて通れません。
これを面倒がって説明なしに妻の名義を勝手に使うなら、後々問題が起きるでしょう。
夫婦円満がアパート経営のカギになる
ここまで、公務員がアパート経営を妻名義にすることのメリット・デメリットを解説してきました。
メリットには、
- 経営の拡大を図れる
- 税金面で得をすることができる
- 融資を受けやすくなる
ということでした。
デメリットとしては、
- 離婚したらアパートを手放さなければならなくなる
- 利益が出ていないなら節税どころか増税になる
- 自分のやろうとしていることについて説明する手間が必要
ということでした。
以上の点は、公務員であるあなたの不動産経営に対する熱意と、奥さんへの配慮が大事になってくるでしょう。
- 自分のやろうとしていることや考えを包み隠さず話して理解を得ること
- お互いを尊重して意思疎通を図ること
が夫婦で営むアパート経営には必須になってくると言えそうです。
まとめ
今回の記事で、アパート経営を妻名義にすることが決してメリットだけではないということを知ってただけたかと思います。
一見すると、副業の制限を回避できて悪いことなんてなさそうですが、
何か間違いを犯してしまうと苦労して手に入れたアパートが水の泡と化してしまう、なんてことになるかもしれません。
妻も失い、アパートも失う…
そんなストーリーは思い描きたくないものです。
そうならないためにも、日ごろから奥さんと円滑なコミュニケーションを取り合い、夫婦仲良くアパート経営に取り組んでいきましょう。