コロナ禍で先行き不安な昨今、本業以外から安定した収入を得たいと考える気持ちは皆同じです。
ただ、未だに副業NGという企業はありますし、公務員の方も副業NGの圧をひしひしと感じているかもしれません。
そんな方に特にオススメしたい副業「駐車場経営」。
駐車場経営という小規模な不動産投資ならば公務員の方も展開可能ですし、サラリーマンの方も始めやすい副業の代表格です。
そこで今回の記事では、駐車場経営を副業として始める時の初期費用について詳しく解説していきたいと思います。
ではまずはじめに、公務員の方が副業を始めるための定義、条件を簡単にご説明したいと思います。
駐車場経営の副業を始めるための条件
最初に公務員の方が駐車場経営を副業として始めるための条件を確認しておきましょう。
国家公務員法によると、認められる自営もある?!
まずは国家公務員法を確認しておきましょう。国家公務員法には副業について以下のように記載されています。
(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。
3 前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。引用:国家公務員法
公務員にアルバイト禁止が課されていることは誰もが知っていますが、自営について詳しく語ることは難しいはずです。
確かに自営は禁止されていますが、国家公務員法第103条には気になる記載も……。
「前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。」
つまり、承認を得た場合には行うことができるというわけです!!
では、自営の範囲とはどのように判断されるのでしょうか。
自営の「範囲」がポイント!
国家公務員の自営は、どこまでが副業に該当するかどうかの判断です。
人事院規則には以下のように記載されています。
第1項関係
1 「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体」とは、商業、工業、金融業等利潤を得てこれを構成員に配分することを主目的とする企業体をいう。会社法(平成17年法律第86号)上の会社のほか、法律によって設立される法人等で、主として営利活動を営むものがこれに該当する。
2 「役員」とは、取締役、執行役、会計参与、監査役、業務を執行する社員、理事、監事、支配人、発起人及び清算人をいう。
3 「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。
4 前項の場合における次の各号に掲げる事業の経営が当該各号に定める場合に該当するときは、当該事業の経営を自営に当たるものとして取り扱うものとする。
(中略)
(2)駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
ロ 駐車台数が10台以上であること。
(3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
つまり要約すると、
- 立体駐車場や機械設備を設けた駐車場でないこと
- 駐車場台数が9台以内であること
- 副業の収入が500万円を超えない
上記の3つの条件内で展開する駐車場経営は、自営つまり「副業とみなされない」ということです。
国家公務員法と人事院規則を合わせて考えると、申請をしなくとも駐車場経営を副業は可能!ということになります。
➤➤➤【公務員の副業】許可申請は必要か?申請不要な副業はある?
➤➤➤【公務員の副業】妻名義でアパート経営をするメリットとデメリット
公務員としての信頼を失わないことが重要
ただ、規模が問題ないとしても以下の点に注意しなくてはいけません。
5「人事院が定める場合」は、次に掲げる場合とする。
不動産又は駐車場の賃貸に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
つまり、
- 公務員の立場を利用した仕方で駐車場経営を展開し、利益を得てはならない
- 副業が原因で公務員の仕事がおろそかになってはならない
- 公務員が営んでいるという認識で信頼の確保を努めて行わなければいけない
ということです。
本業をおろそかにしないということは副業の基本で、公務員以外の副業をしているすべての人が注意しなければいけない点ですね。
自営に該当しない場合でも、上記に該当すれば処分の対象になるかもしれません。駐車場経営を始める際は、この点にも留意しておきましょう。
➤➤➤【公務員の副業】公務員が副業禁止を破った場合に受ける罰の重さとは
住民税の支払い方法でバレる前にできること
規模が大規模になり自営と認められる場合は、人事院の許可を始める前に取らなければいけません。
ただ、自営に該当しない小規模な経営だとしても、住民税の支払い等で副収入が職場にバレることもあります。
違反ではない副収入だとしても、後々バレて職場で気まずくなる……ということが起きないように、小規模な駐車場経営であっても上司に一言伝えておくなど、事前に対策できることはしておくことをおすすめします。
でも絶対にバレたくない……という方は以下の記事をご参照ください。
➤➤➤【公務員の副業】バレない為には年末調整と確定申告の知識が必須
地方公務員は自治体ごとのルールに従う
これまでご説明した内容は「国家公務員法」を参照したものです。つまり、「地方公務員」にはまた違った内容が課される場合があります。
もちろん、国家公務員も地方公務員も似通った原則が適用されてはいますが、自治体ごとに変更している箇所も無きにしも非ずです。
特に、駐車場経営は住んでいる自治体に深く関わる副業です。
副業を始める前に、務めている自治体ごとのルールを確認しましょう。
➤➤➤【公務員の副業】バレたら懲戒免職?過去事例から学ぶクビになるケース
駐車場経営の運営形態は2種類
駐車場経営を副業で開始する際、運営形態は次の2種類から選択ができます。
- コインパーキング
- 月極駐車場
どちらにするかは、土地をどこにどれぐらいの広さで所有しているかによって違ってくるでしょう。
繫華街に土地を所有していればコインパーキングがおすすめです。
住宅街ならば収入が安定する月極駐車場が地域の需要に合うでしょう。
所有している土地の内容によって、どのような運営形態で副業を開始するかを判断しましょう。
コインパーキング
コインパーキングを開始する場合は、業者に委託するか自分で管理するかの2択です。
業者に委託する場合は土地の賃貸になり、駐車場経営には該当しません。この場合の初期費用はコインパーキング業者が負担することになるので、ほぼ無料で開始ができます。
収入もその分減少するかもしれませんが、面倒なことは省きたいという方におすすめの選択肢です。
また、コインパーキングを自分で管理する形態を選択する場合機械を導入しなくてはいけないため、職場で許可を得る必要が生じます。(※人事院規則を参照)
もし管理会社に委託せず自身で経営するなら、駐車場に設置した機械がトラブルを起こせば自分で処理をしなければいけません。
トラブルが業務時間に起きた場合、自分一人で対応するのは困難でしょう。公務員の仕事に支障が出ると懸念され、許可が下りない可能性もあります。
コインパーキングに適した土地を所有されているのならば、管理業者にすべてを委託し土地として貸し出すことをおすすめします。
➤➤➤【公務員の副業】駐車場経営で起こりやすい7大トラブルと対処法
月極駐車場
月極駐車場の場合はすべて自分で初期費用を準備しますが、駐車場完成後の管理は、管理会社に委託することも可能です。
また、駐車場経営を大規模展開する場合は管理委託をしなければまず許可がおりません。
どちらにせよ、月極駐車場を副業として開始するには初期投資が必要です。
ではその初期投資はどれくらい準備する必要があるでしょうか?
駐車場経営にかかる初期費用はいくら?
それでは、土地を月極駐車場とするための初期費用を計算していきましょう。
未舗装の駐車場にかかる初期費用
未舗装の駐車場を貸し出す場合は、草むしり後に土地を平たんにする作業が必要です。
工事を依頼するのならば、業者に確認をしながら安く仕上がるところを探しましょう。目安は3,000円/㎡です。
自分で準備できる部分をなるべく自分で行うなら外注費を安く抑えることができます。
例えば、
- 区画用のロープ(広さにもよるが、数千円程度で対応が可能)
- 車止め(一台につき約7,000円程度が目安)
- 番号表記
- 駐車場表記
駐車場の表記をラミネートを使って自作するならかなりの安価で準備ができます。
アスファルトの駐車場にかかる初期費用
借り手からするとアスファルト舗装の駐車場は未舗装の駐車場よりも人気が高いですが、もちろん未舗装の場合よりも初期費用が必要です。
先ほどの工程にプラスして、アスファルトを敷きローラーで転圧するため、外注が必須です。
アスファルトを敷いた場合、杭を地面に打ち付け、車の区画を作る作業も業者に依頼しないとできません。初期費用の目安としては、約5,000円/㎡程度を考えておきましょう。
また、区画のライン引きも5台で約50,000円程度はを目安にしていただければと思います。
外注する場合は複数の業者に見積もりを取るようにしましょう。
コンクリートの駐車場にかかる初期費用
駐車場設備の中で初期費用が一番高額になる方法です。
しかし、砂利の駐車場とコンクリートの駐車場が近隣にあって多少の金額差しかない場合、コンクリート舗装の駐車場を選択する方が多いでしょう。
特に、車好きの方や小さなお子様もしくはご高齢者がいるご家庭では砂利の駐車場よりもコンクリート舗装された駐車場を好む傾向にあります。
なぜなら、砂利の駐車場ですと飛び石が気になりますし、出入りの際に土埃も舞います。雑草が生い茂る場合もあるでしょう。
小さなお子さんやご高齢者の安全面から考えても、砂利よりもコンクリートの方が安全だと判断されます。
また、借り手が女性の場合ヒールが砂利にはまってお気に入りのパンプスに傷がつくという悲しい経験をするかもしれません。
そのため、どんなタイプの駐車場を貸し出すか所有している土地の周辺状況と需要を検討しましょう。
初期費用が高くつくとしても、今後経営していくうちに回収できると判断できるのならば、コンクリート舗装も現実的な経営方法でしょう。
費用の目安は約8,000円/㎡です。(+ライン引きの費用)
駐車場と道路に高低差がある場合
全てのタイプの駐車場に共通して考えられる点ですが、土地と道路に高低差がある場合がスロープ工事の外注が必要のため、まとまった初期費用が必要です。
スロープ工事費は、どれくらいの長さのスロープが必要かに左右されますが、40万円~50万円程度が目安でしょう。
ただ、業者によって工事費に差がありますし、安さに飛びついてずさんな工事で終わりにされるなら、経営開始後数年たって修繕費等などの余分な費用が発生するかもしれません。
泣きを見ないためにも外注業者は慎重に決めましょう。
まとめ
公務員の方にとって駐車場経営はさほどハードルの高いこと副業ではありません。
小規模展開ならばすぐに始めることができます。初期費用は駐車場のタイプによってピンキリです。
取得している土地の近隣需要や費用対効果を検討して判断し、安定した副収入の獲得を目指しましょう。