【副業と税務調査】すべき対応とすべきでない対応を解説します

総務省の平成29年就業構造基本調査によれば、

  • 副業をしているサラリーマン人口は267万人
  • 副業をしたいと考えている人は424万人

と、就業人口の一割が副業をしているか、副業をしたい意志があるとのことです。

副業ジャンルは様々ですが、全てに共通しているのは、「所得が発生し税務調査が入る可能性がある」という事です。

「たかが副業でしょ?小遣い程度に税務署が動くの?」と自分で判断して呑気に構えると後で大慌てする事になりますよ!

今回は、【副業と税務調査】その対応と対策について詳しく解説しますので、副業が気になる方は御覧下さい。

サラリーマンの副業にも税務調査が入るのはなぜ?

サラリーマンの場合会社の方で確定申告はやってくれるので、そもそも確定申告に実感が少ないものです。

しかし、個人事業主の場合には、一年間の収支報告を自分でつけて税務署に確定申告しないといけません。

これが大変に面倒なモノで、毎年3月15日の締め切り前後、一番胃が痛い想いをするとつぶやく個人事業主は多いのです。

つまり、サラリーマンでも本業とは別に副業により収入が発生すると、それは所得が発生する事になり個人事業主同様に税務署に確定申告する義務が生じます。

ただし、1円でも副収入があれば申告すると言う事になると労多くして益が少ない事になり無意味です。

日本の法律では、主たる収入以外の副収入の合計が20万円を1円でも上回ると確定申告の義務が発生します。

年間20万ですから、月で16000円以上の副収入があれば、もう税務調査と無関係とは言えないのです。

「副業元年」2018年度分の副業収入を確定申告しようー手続き方法

理由①税負担の公平性のPR

それでも、年間20万円程度の事で税務調査に入る事は税務署としては本当は採算が合いません。

しかし、税負担の公平性を考えた時、副業収入についてもある程度ランダムに調査に入る事により税負担の公平性のPRになるのです。

税務署がちゃんと仕事をしている事を納税者に見せる事は税の公平負担にとっても極めて重要な事です。

もし、あなたの副業がそれ程儲かってもいないのに、税務調査が入ってきたら上記のような事情があるのだなと思って下さい。

理由②脱税を防止する見せしめ効果

税務署は意図的に高額納税者や大企業の脱税をピンポイントで狙う場合もあります。

これも税負担の公平性のPRですが、実際には怪しい会社や個人全てを調査できないので、所得が多そうな目立つポイントを狙うのです。

税務署が目をつけるのは所得が急激に変化したようなケースで、所得が激増したり、所得が激減したり、経費が増えたような場合がそれに当たります。

そのような急激な所得変動は脱税のような不正行為に繋がっている事が多いので、該当者について税務署は神経を尖らせるのです。

とはいえ、全ての怪しい会社や個人事業主全てに網をかけるのは無理なので、一罰百戒のつもりで実行する見せしめ効果なのです。

特に、近年は副業希望者が増加しているのですから、副業についても見せしめの税務調査が増える可能性はあります。

理由③第三者からの通報

第三者からの通報も、税務調査が入る切っ掛けにはなります。

特にサラリーマン副業の場合、常に同僚とデスクを並べているわけですから、所持品が高価になったりすると怪しまれ通報される事になります。

副業が禁止の職場で黙って副業をしているような場合には、疑われるような高い所持品は避けた方がよいでしょう。

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理由④確定申告していても税務調査は入る?

毎年確定申告をしているなら、税務調査は入らないかというとそうとも言えません。

疑いが出ると「一応調査に入っておこう」という方針で税務調査が入るケースも多々あるからです。

ただ、税務調査で嫌疑が晴れるとさらに疑われるような事はないので、疑わしい所がないなら毅然と対応しましょう。

税務調査が入ったらどうすればいい?

先に書いたように正直に確定申告して税務調査が入らないようにしても「念のために調査される」ケースは多くあります。

身に覚えがあるならともかく、真面目にやっていて疑われるのは腹立たしい気持ちにもなるでしょう。

そこで、ここからは実際に税務調査が入った場合の対応策を紹介します。

対応策①税務調査には任意と強制がある

テレビや映画のイメージから税務調査というと、スーツに手袋をした一団が裁判所の令状を片手に強制的に書類を押収する印象があります。

しかし、あれは「強制捜査」という法的拘束力を持つ調査で、税務調査全体の1%にしかならない極めてまれなケースです。

それ以外の99%は該当者の協力を得て実施される「任意調査」という強制力のない調査なのです。

では、任意なら拒否できるのか?というとそうではなく、納税者は原則として税務調査を拒否できないと法律で銘記されています。

国税通則法により、

  1. 税務調査に協力しない
  2. 虚偽答弁をする
  3. 正当な理由もなく調査を拒否する

1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が課せられますので任意だからと拒否はしない事をおススメします。

対応策②帳簿を隠したりしない事

税務署に何も隠し事がないのに税務調査が入った場合には、まず帳簿を提示して下さい。

なぜなら、所得を得て確定申告をする時には必ず帳簿を作成して税務署に提出するからです。

税務署はその帳簿に疑いを持って来ているので、最初に収支報告書を提示するように求めてきます。

そこで帳簿を見せて問題がなければ税務調査は終了します。

この場合、やってはいけないのが、帳簿を見せるのを嫌がる素振りを見せる事です。

そんな事をすると、帳簿に問題が無くてもやはり何かやっているのではないかと引き続きマークされる事になります。

帳簿を出すように言われたら、逆らわず堂々と提示するのがトラブルを起こさない最善の方法です。

対応策③税理士が来るまで待機してもらう

サラリーマン副業が軌道に乗り、帳簿作成に税理士を雇っているなら税務調査が入った時には税理士に説明してもらいましょう。

国税職員は税金をふんだくるプロですから、あなたの説明不備をついて外堀を埋めてしまい、何の言い逃れも出来なくしてから多額の重加算税を掛けるかも知れません。

それに対応できるのは税のプロである税理士だけなので、対応は税理士に任せる方がよほど安全です。

もし、国税職員が税理士より先にやってきた時には、税理士が来るまでは対応できないと正当な理由を告げて待機してもらいましょう。

恐怖の「無予告調査」への対応は?

通常、税務調査は2週間位前から事前連絡が入り、日程調整のうえで実施されるのが通例です。

ですが、時には何の事前連絡もなくある日突然、税務調査官があなたの家を訪ねる事もあるのです。

これは「無予告調査」と言い、何の心の準備も出来ない時に来るのでパニックになりがちです。

では、このような無予告調査へはどう対応したらいいのでしょうか?

対応策①税務調査官を室内に入れない

無予告通知の最初の対応策は「税務調査官を室内に入れない事」です。

何故なら、税務調査での受け答え一つで税金の負担が大きく変わる事があるからです。

最悪の場合は、重加算税、推進課税により、所得の現実から乖離した多額の税金が課せられるばかりか、

反面調査として、あなたの取引先にまで税務調査が入る羽目になります。

このようなトラブルを回避するには、第一に顧問税理士に電話を掛けて無予告通知の税務調査を受けている事を説明し来てもらう事です。

同時に、税務調査官に対しては税理士が来るまで調査には応じられない事を告げ、室内に入れないようにします。

もし、税務調査官を室内に入れると税務調査に協力する意思表示をしたと見做され待機してもらうのが難しくなるからです。

対応策②協力の意思を示しつつも、猶予を求める

税務調査は原則、事前通知してから実施する事になっていますが、事前に通知すると正確な税務調査に支障を及ぼすという理由でアポ無しも認められています。

一般納税者向けの国税庁「税務調査手続に関するFAQの回答」によると、

「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ、又は「その他」、調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると判断した場合には事前通知をしない事もあります」

このように回答していますが、

文言の最後に「その他」が入る事で、実質、税務署が無予告税調査をしようと思えばいつでも出来る仕組みなのです。

ただし、無予告税務調査を拒否する事は出来ませんが、

調査の受け入れ準備が出来ていないから時間的な猶予を求めたり、日時を改めて来てもらう事は出来ます。

それは協力の意思はあるが、今は都合がつかないという事で拒否したわけではないからです。

対応策③税務調査はいつ来ても不思議じゃないという意識を持つ

サラリーマンの副業収入に対して税務調査が入るかどうかの結論は、いつ来ても不思議じゃないという事になります。

また、税務調査は事前通知があるとは限らず、無予告調査も少なからずあるとなると、副業で所得を得ている人には他人事ではありません。

油断している間に税務調査官の調査を受けて慌ててマズい対応をしてしまい、

あらぬ疑いを掛けられたり、多額の税金を掛けられては困るので第一に理論武装をしましょう。

サラリーマン副業で還付金が受けられる可能性

税務調査というサラリーマン副業にとっては、嫌な話題を取り上げましたが確定申告は悪い事ばかりではありません。

副業収入がある事によって、税務署から還付金が戻ってくる事があるのです。

まず、副業収入は税法上「雑所得」の扱いを受けます。

雑所得という事は、必要経費の計上が認められているわけです。

例えば副業収入として、20万円の所得を得たとします。

するとこれに対して所得税等10,21%に当たる20,420円が源泉徴収されます。

しかしこの時点では、副収入を得る為に使用した必要経費が一切計算されていません。

副収入はジャンルにより様々ですが、ここではザックリと8万円が必要経費として計上できたという事にします。

すると事実上の所得は12000円という事になり、仮に所得税率が5%だったとすると、120000×5,105%=6126で6126円が実際の所得税になります。

あらかじめ源泉徴収で引かれていたのは、20420円なので、ここから6126円を引いた14294円が払いすぎになり、還付金請求で還ってくるのです。

何が経費として認められ、何が認められないかは、副業や仕事の内容でも違うので、税務署との相談次第ですが覚えておいて損はありません。

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まとめ

心にやましい事がない限り、税務調査は面倒な事ではあれ、恐れるものではありません。

事前に通知があれば帳簿を用意し、税理士を雇用しているなら来てもらって対応してもらう事です。

無予告調査でも慌てずに、まずは税理士に連絡をつけ到着するまでは税務調査員を室内に入れずに待機してもらいます。

おどおどせずに税務調査員には毅然と対応していれば、不安になるような事は起きないことがほとんどです。

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