【政府が2018年度内に副業容認へ】サラリーマンの働き方はどう変わる?

政府が年度内に副業を容認しました。

政府としては、今後副業が可能となるような社会を実現すべく会社に働きかけていく方針です。

副業が容認された場合、私たちサラリーマンの働き方はどのように変わると考えられるでしょうか?

これを明らかとするためにこの記事では、政府が副業を容認した場合働き方はどのように変わる可能性があるのかについて、わかりやすく解説していきます。

政府が副業を容認する背景

政府が副業を認めた?

近年、日本では副業もしくは複業という働き方が注目を集め始めています。

実際、副業を希望する人が年々増加傾向にあることは政府によって認識されているところです。→[1]

しかしながら、日本の多くの企業は副業を認めていません。

これは副業を認めてしまうと、

  • 自社の業務が疎かとなる可能性があること
  • 情報漏えいのリスクがあること
  • 利益相反・競業になること

が懸念されているからです。

2018年現在、日本には副業を直接的に禁止する法規制はありません。

しかし、厚生労働省が平成29年12月時点で示しているモデル就業規則の中で、労働者の遵守事項として「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定があることから、

これに則って、各企業は就業規則の中で副業を禁止していることも多くなっています。→[1]

副業をしたくても許可なく会社等の業務に従事した場合には懲戒事由となることもあるとモデル就業規則の中で明記されていることから、

労働者から副業に踏み切ることは難しいのが現状です。(→サラリーマンのお小遣いの現状【効率よく増やす?地道に増やす?】

そんな状況の中で、最近は政府による副業容認が急速に進みつつあります。→[2]

政府によって副業が容認されれば、多くの日本の企業も副業を容認すると考えられます。

なぜ政府は副業容認に踏み切ったのか?

政府が副業容認へと転じた背景としては急速に進む少子高齢化があります。

日本における高齢化率(高齢人口の総人口に対する割合)は2010年の23.0%から、2013年には25.1%で4人に1人を上回ります。

さらに、2010年の50年後にあたる2060年には高齢化率は39.9%、すなわち2.5人に1人が65歳以上となることが見込まれており、急速に日本の高齢化が進んでいます。

同時に、子どもの数が大きく減っていることから、将来的に労働人口が足りなくなることが懸念されているのです。

労働人口の減少を食い止める政策の一つとして政府が打ち出したのが「働き方改革」でした。

働き方改革は将来的に足りなくなると見込まれている労働人口をどのように補うかに焦点があてられています。

その一環として、政府は副業を容認することに踏み切ることにしました。

副業を認めることによって、労働者が労働できる環境が増えることで労働力を賄おうという狙いがあります。

つまり、優秀な人材が持つスキルを他の会社でも活用することで新規事業の創出などにつなげ、

人材を融通し合うことで人材確保にも寄与することが目指されているのです。

政府による副業容認の流れと呼応して、最近では副業を解禁する企業も現れています。

例えば次のような会社が副業容認に踏み切りました。

  • ロート製薬
  • ソフトバンク
  • DeNA
  • サイボウズ

このように、大手企業も副業を認めるようになっている一方で、8割以上の企業が副業を認めていないことが現状であることから、

副業を認めている企業は例外的な扱いと言わざるを得ない状況です。→[3]

こうした背景から、2018年度内に政府が副業を容認する動きをさらに加速しようとしています。

政府が副業を容認すれば、多くの企業が副業を容認せざるを得なくなるでしょう。

次節では、政府がどのようにして副業を容認しようとしているのか詳しく説明していきます。

政府が認める副業容認の動き

従来副業を認めない立場であった政府も、最近では副業を認める方向に舵を切りました。

例えば、2017年3月28日に「働き方改革実行計画」が決定され、柔軟な働き方をしやすい環境整備の一つとして、

労働者の健康確保に留意しつつ原則副業を認める方向で副業の普及促進を図ることを、安倍首相が議長である「働き方改革実現委員会」が発表しました。

さらに、厚生労働省も副業の拡大を目指すガイドラインの作成を目的として、「柔軟な働き方に関する検討会」を立ち上げるなど、副業容認に向けた機運が高まっています。

その成果として、厚生労働省は2018年1月に『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を発表し、わかりやすく副業のメリットをまとめています。

『副業・兼業の促進に関するガイドライン』の中で、厚生労働省は労働者にとっての副業のメリットを次のように示しています。

  1.  離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる
  2. 本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる
  3. 所得が増加する
  4. 本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる

このように、労働者側からしてみれば、副業には様々なメリットがあることがわかります。

今後、政府は従来のモデル就業規則を改定し、

  • 「本業に影響を与えないこと」
  • 「副業が労働者と副業をする会社に利益を発生させる一方で、本業をする会社に影響を与えないように配慮すること」

といった条件を追加することで、副業を原則として許可する方針を打ち出しています。

それでは、政府による働き方改革の一環として副業が容認されることによって、働き方はどのように変化するでしょうか?

以下では、それについて明らかとしていきます。

副業容認で働き方はどう変わる?

副業容認は働き方を変えるか?

政府による副業容認は今後もさらに加速していくと考えられます。

それでは、政府が副業を容認すると働き方はどのように変わる可能性があるでしょうか?

まず、副業が容認されることによって離職しなくとも別の仕事につけるようになり、労働者は自分のキャリア形成を主体的に行えるようになります。

労働者は自分のキャリアに必要な仕事を副業とすることによって、仕事に必要な新しいスキルを効率よくオン・ザ・ジョブ・トレーニングとして学ぶことができ、副業で得た知識を本業で活かすこともできます。(→【英語で副業】翻訳の副業は稼げる?種類と収入を調べてみた

副業として他の会社で働くようになれば、人脈やノウハウなども広がります。

もちろん収入も増えるようになるので、たとえ失業した場合でももう一つの会社からの給料によって生計を維持することができるようになります。

さらに、転勤や自分の意思とは異なる人事異動に忍従する必要もなくなることから、会社との関係が対等なものとなります。

政府による副業容認はいいことだらけ?

しかし、企業の側としても従業員の収入源がマルチになるのであれば解雇要件が緩和されることになることから、これまでよりも簡単に従業員を解雇することが可能となります。

解雇要件が緩和されることは一概に悪いことばかりではなく、

副業によって労働市場が広がれば比較的容易に仕事を見つけることができるようになるため、生計は安定するようになると考えられます。

この意味で、政府による副業容認は労働者の雇用条件を改善し、無理に一つの会社に留まらずとも生計を立てられるようになるのです。

このような働き方が可能となることで、労働者の力が強くなれば会社と労働者の力関係にも変化が生じます。

その結果として、優秀な人材であれば会社は高い給料を払ってその人材を確保しようとしますし、労働者も自分に合わない仕事はせずに転職を考えやすくなります。(→サラリーマンが退職を決意する時【仕事を辞める理由ランキング】

ただし、政府が副業を容認する動きをみせている一方で、副業容認に向けて課題がないわけではありません。

例えば、多くの人が懸念しているように、労働時間の管理の問題や社会保険の扱いの問題については未だ議論が続けられている状況です。

副業によって労働時間の管理が曖昧となれば、労働時間の長期化を招く可能性があります。(→サラリーマンが副業に使える時間と効率的な時間配分方法を検証

また、労働時間の管理を曖昧としたままで副業を認めた場合、労働者の勤務時間を把握することが難しくなることから、

社会保険への加入を回避する企業や労働者が増えてしまうことも懸念されています。

副業容認で働き方は多様に!しかしまだまだ問題は山積み!

政府による副業容認は、労働者一人ひとりの意思や能力、置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方を可能にするものです。

働き方は暮らしそのものであることから、

  • 働き方の改革は日本の企業文化
  • 日本で暮らす人々のライフスタイル
  • 日本で働く人々の労働に対する考え方

を変化させます。

しかしながら、政府による副業容認の動きはまだ始まったばかりで課題も山積みです。

したがって私たちとしては、政府による働き方改革の一環としてどのように副業が認められていくのか、その変革が向かう方向をきちんと理解しておくことが大切です。

働き方改革によってどのように副業が容認されていくのかがまだよくわかっていない人は、是非この記事を参考にしていただければと思います。

 

【参照資料】
[1]厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン』
[2]厚生労働省『平成28年度版情報通信白書』
[3]中小企業庁「平成26年度 兼業・副業に係る取組み実態調査事業」報告書