現代社会では、本業の他に副業を持つことが当たり前となってきました。
副業の中でも2010年以降は特にインターネットを使った副業が増え、どんな人でも気軽に副業を持てるようになってきましたが、
実際は本業とのバランスや心の負担などどうなのでしょうか?
そこで今回は改めて副業について考えてみると共に、「働き方改革」や「副業をする心構え」を紐解いてみましょう。(→サラリーマン副業ランキング ベスト10【2018年最新版】)
これから副業を始めようと考えている人や今の副業に悩みがある人など、今一度副業のあり方を見直してみてはいかがでしょうか?
特に、副業が今当たり前になってきている背景をご紹介すべく「働き方改革」についても詳しくご紹介したいと思います。
働き方改革とは?
日本全体の課題とも言える労働環境の改善について安倍晋三首相は働き方改革の取り組みを提唱し、2016年9月には内閣官房に「働き方革命実現推進室」を設置しました。
これは会社勤めの人以外にも、経営者、フリーランスの人など誰にとっても関心がある課題であり話題でもあります。
「働き方改革により、どう社会が変わっていくのか、どう自分の会社や組織が変わっていくのか?」
と、関心が高い人は少なくないと思います。
しかし、その関心が高い人が多いのは良いことですが、その反面、現在の働き方や環境に何らかの不満を持っている人が多いとも捉えられます。
なぜ、政府が働き方改革を掲げたのか?
目的と問題
働き方改革とは「一億総活躍社会実現」に向けた最大のチャレンジのために掲げられた政策です。
一億総活躍社会とは、
「50年後も人口1億人を維持して職場や家庭、地域で誰もが活躍できる社会」
のことを言います。
少子高齢化が年々進む日本ではこのままでは総人口が下り坂のままだということから、この働き方改革が生まれました。
このままでは2105年には総人口が4500万人まで減少してしまうと想定からも読み取れるように、これは想定以上の減少であると懸念されています。
イコールして、働き盛りの30代~40代の人口も減り、50代以降の年齢層も働かないといけない環境になってしまうのです。
要は、働く人=労働力人口が少なくなり社会全体が回らなくなるという問題が起こるだろうと想定されています。(→サラリーマンの平均年収とお小遣いから見る副業のススメ【実態調査】)
対応策
以下3点は、労働力不足が解消されるための対応策です。
- 「働き手を増やす」
- 「出生率を上げ、将来の働き手を増加させる」
- 「労働生産性の上昇」
「働き手を増やす」は、今現在労働市場に参加していない高齢者や女性を対象としています。
「出生率を上げ、将来の働き手を増加させる」は、説明なしでもわかりますね。
「労働生産性の上昇」は、世界との順位を見るとわかります。
実は現在の日本の労働生産性はOECD加盟国の全35カ国中22位で、主要7カ国中では最下位です。
この3つに取り組むというのが、政府が掲げた働き方改革の概要です。
働き方改革で変わること3点
働き方改革で変わると期待されていることは以下の3点とされています。
1:「長時間労働の解消」
2013年に国連から、日本の長時間労働について是正勧告がされています。
理由は…多くの労働者が長時間労働に従事していること。
過労死や精神的なハラスメントによる自殺件数の増加が日本の職場での問題となっていますよね。
国連から勧告がされるくらい国際的に見ても日本の長時間労働はとても深刻で、しかもその該当者が働き盛りの30代~40代が特に多いことも更なる問題なのです。
そして、時間的な問題がある上、転勤や配転の命令が特に多い事実も問題として取り上げられています。
更に追い討ちをかけるかのように、もし転勤や配転の命令を拒否すると役職を落とされたり、最悪の場合クビを命じられる事実にも目を背けてはならない状態なのです。
長時間労働が当たり前の日本になってしまったわけの一つに高度経済成長期以来の価値観が挙げられます。
戦後の日本では、高度経済成長期以来
- 「働けば働くほど待遇が上がる」
- 「睡眠時間を削り、超多忙な人材だとイメージさせる」
という価値観が生まれました。
安倍晋三首相も発言するように、これは終身雇用あっての話であり、過去に提唱された「モーレツ社員」=企業戦士は今の時代に合わないのでしょう。
解決策としては以下の3点が挙げられています。
- 法改正により時間外労働の上限規制の導入
- 時間環境整備(勤務間インターバル制度導入)
- 心身共に働きやすい環境の整備
2:「非正規と正社員の格差是正」
現在の日本の非正規社員の待遇は正社員の時給換算賃金の約6割にとどまっています。
海外と比較すると欧州は8割ほどとやや高い割合です。
この6割という数字だけ見ても非正規社員と正社員の格差位は激しいと言えるでしょう。
それならば、誰もが正社員の道に行けばいい…という意見もありますが、実際に
- 高齢者
- シングルマザー
- 介護を要するような人
などの自由のきかない方たちにとっては正社員をこなす時間も心の余裕も生まれず、限界があるのが現状です。
結果として非正規の道を選ばざるを得ないこの社会では、非正規で働く人は労働者全体の4割を占めており、
この4割の人の働き方を待遇に見合った条件に改善することは第一優先といっても良い程なのです。
解決策としては以下2点が挙げられています。
- 同一労働同一賃金の実効性を確保する制度法、ガイドラインの整備
- 非正規社員の正社員化、キャリアアップの推進
「同一労働同一賃金」は働き方改革の目玉とも言われており、労働によって同じ付加価値をもたらす人には賃金を同一にするべきだという考えで、政府も中心的に考えている問題です。
3:「高齢者の就労促進」
現在の日本では、高齢者65歳以上の約6割が「まだ働きたい!」と考えていることが国の調査で分かっていますが、実際には2割の高齢者のみが働いています。
出産・育児・介護などによって労働の時間を考えたい人が働き方の制限を無くしていくことにより、そのポストが空席になることになります。
そこで、高齢者の労働者を増やすことにより他の人への負担を減らすという策なのです。
取り組みとして2点挙げられています。
- 継続雇用延長、定年延長支援(長年働いてきた環境での継続労働)
- 高齢者の仕事探し支援強化
各対応策とのつながり
この3点は、上記で紹介した対応策と=(イコール)で繋がっています。
- 「働き手を増やす」=「長時間労働の解消」
- 「出生率を上げ、将来の働き手を増加させる」=「非正規と正社員の格差是正」
- 「労働生産性の上昇」=「高齢者の就労促進」
この3セットを見直すことにより、結果的に「労働力不足の解消」を期待しています。
本業あっての副業【副業する際の注意点】
ここまで働き方改革について詳しくご紹介してきましたが、この改革は会社内や組織内でも様々な形になっての実践が始まっています。
その一つとして「副業」が挙げられます。
今回は、副業を行う際に気をつけなければならないことを4点ご紹介します。(→バレる?バレない?会社で禁止の副業、なぜ発覚する?)
厚生労働省が平成30年1月に改定した「モデル就業規則」に例示されている内容です。
① 労務提供上の支障がある場合
「労務提供上の支障」がある場合は、副業の内容等を労働者に申請・届出する必要があります。
労働時間や健康状態に支障が出てしまっては副業どころか、本業もままならない事態が生じます。
特に、労働基準法の労働時間に関する規定が適応している副業を行っている場合には、本業である企業に時間等を申告することもあります。
場合によっては、会社から禁止または制限されることもあります。
以下のような状態は危険です。
- 副業の日時により本業の残業や休日出勤に対応できない
- 副業においての精神的身体的負担が大きすぎる
② 企業秘密が漏洩する場合
厚生労働省が平成30年1月に改定した「モデル就業規則」には、副業において企業秘密が漏洩する場合は、会社は副業を禁止または制限することができると例示されています。
しかしこれは本業にて当の本人が企業秘密を扱う立場の場合にこの規定が適用されます。
副業を行う際は内容などに対して本業との区別をつけて厳重に管理しながら行いましょう。
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
基本的に副業は本業の勤務時間外に行うものです。
しかし、
- 本業の会社に対しての名誉や信用を損なう行為
- 信頼関係を破壊する行為がある場合
は就業規則により禁止され、懲戒対象とされる可能性が高いです。
④ 競業に当たる場合
本業での顧客を取ってしまい、さらに売り上げを減少させるような場合は規則に当てはまり、禁止または制限されます。
③にも当てはまり、処分される可能性も高いです。
しかし、副業において本業と多少競合する場合でも副業から得たスキルを本業に活かすのであれば良しとする考えもあります。
副業を推進する理由
副業を推進する理由は2点あります。(→あなたが知らない「副業のメリット」とは?)
まずは金銭面において本業一本で生活している時よりも、副業を行いダブルワークをした方が確実に金銭面での余裕が生まれます。
かつて、多くの企業では副業を禁止していましたが、
現在では働き方改革に続いて日本では全面的に副業を解禁する働きが見えてきているので、多くの人が無理なく副業に取り組める社会になってきています。
そして、自身のスキルアップといった点でも成長できるというメリットから副業を推進している動きもあります。
本業だけでは学ぶことのできない知識やスキルを副業で学び、それを本業で活かすという考えです。(→副業から本業へ!独立起業に必要な3つのマインド)
まとめ
このように政府でも大きく動き出した「働き方改革」と同時に、すでに動いている「副業」もより一人一人が考えながら向き合い、それぞれ豊かな働き方を見出せると良いでしょう。
そして、副業は気軽な気持ちでは行えないと知っておきましょう。(→これから副業を始めようというあなたへ)