株主優待取得の強い味方!一般信用取引で逆日歩を気にしない取引方法

株式投資をする魅力は人それぞれですが、売買益や配当だけでなく株式投資には独自の「株主優待」という制度がありますね。

実はこの制度はあまり他の国では採用している企業は少なく、日本の中元や歳暮等の贈答文化が下地にあったからこそ根付いた制度のようです。

今回はこの株主優待というテーマをベースにリスクを抑えた投資方法やその注意点等について解説していきたいと思います。

株主優待の魅力とは?

そもそも株主優待という言葉は知っているけれどもどんな制度なのかご存知でしょうか。

通常株式投資を行い、決算日までその株式を保有し続けていると配当金を貰える権利を得ます。

ただ主に日本企業ではそれ以外に一定の株数を保有している投資家に対して自社の製品等で出資をしてもらったお返しをします。これを「株主優待」と言います。

例えばあなたが日清食品や日本ハムなどの食品メーカー企業の株を一定数保有していた場合はそれぞれの自社商品の詰め合わせを配当金の他にもらえたり、マクドナルドやすかいらーくなどの飲食店企業の株を一定数保有していた場合は優待食事券をもらえたりしますが、これらは全て「株主優待」となります。

また特殊な株主優待の受取方法としては株主総会に参加した際のお土産としてもらえることもあるので、企業毎に株主優待の内容だけでなく受取方法が異なることも念頭に購入する銘柄を選定するようにしましょう。

なお、株式投資関連の雑誌で株主優待のみで生活する等の特集がしばしばありますが、実際に数種類の株式に投資をできるようになると本当に数日は優待券だけで生活を送れるようになるほど株式優待には魅力があります。

ではさらにここからは株主優待の魅力を理解された方により株式投資という点からより実践的な話をしていきます。

株主優待がある銘柄の検索・選定方法と注意すべき点

全ての企業が株主優待を実施しているわけではありません

そのため、株主優待を受ける銘柄に投資を検討している方はまずどの企業がどんな株主優待を実施しているか検索する必要があります。

この検索方法は種々ありますが、メジャーな方法としては四季報の個別企業情報内にある株主優待ページから興味のある優待物をメインに投資先を選定していく方法やご自身の取引されている証券会社の特集ページを見てみるのもいいでしょう。

ただし、これらは候補先を見つけるための方法であり、特集されているからその企業に投資をすると決めてはいけません

では候補先を決めたなかで次に投資先を絞る基準についてはこれからお伝えする3点に着目しましょう。

個人的に検索しやすいと思っているのは、カブドットコム証券の株主優待ページです。

投資先を決める基準① 配当利回りも考慮して株主優待と合わせて予想リターンを評価する

確かに株主優待は魅力ですがそこだけに着目して投資を行う投資家はいません。

例えばA会社は配当及び株主優待を実施する企業で配当予想金額と株主優待の評価額の合計金額をaとし、同水準の株価の企業B(配当は行うが株主優待はしない)の配当予想額bとするとa>bとなるようでなければ、いくら株主優待があっても企業Bの株式に投資を行うほうが収益の効率が高くなるためです。

このため、投資候補先を見つけた場合は同業種であり株価も同水準の企業二社と比較しても遜色ない投資先かを事前に確認しましょう。

投資先を決める基準② 優待で得られる物は自分にとって欲しいものか

人それぞれ当然趣味趣向が異なるため、ここで色々な意見が出ると思いますが最終的に自分で使えない優待券を収益にするには転売して換金する方法しかありません。

しかし、転売する場合はどうしても満額の金額で買い取ってもらえないため、享受できるメリットが減ります。

このため、最大限株主優待のメリットを享受するためにもご自身が使いたいものかどうかを基準に選ぶのもいいでしょう。

投資先を決める基準③ 避けるべき銘柄の基準を理解しておく

株主優待を目的に株式投資をするうえで一番このポイントに引っかかる方が多いかと思われますが、

権利取り日が近くなるにつれて株価が大きく上昇している銘柄』や『直近業績不振または不祥事を起こしていて未解決の銘柄』は必ず避けましょう。

まず前者については株価が上昇している理由が株主優待狙いの個人投資家の買いが増加するのとそれを見越した大口投資家の買いが入るからです。

この現象は権利が得られる日までは続く傾向にあり、株式保有者は売買益も狙えるのではないかと期待するのですが翌日には一気に株価が下落する可能性があるため、反対に含み損を出して売るに売れない状況を作ることになります。

また後者のタイプの銘柄については株主優待で得られる物自体が減ったりなくなったりするためです。

 

以上が株主優待のある銘柄を選定する際の方法や注意すべき点でしたが、注意すべき点の一部はある売買方法を使うことで回避できます。次項ではその売買方法について見ていきましょう。

空売りとの両建てでリスクなし!

株価の変動リスクを抑えつつ株主優待を受け取るなんて都合の良い方法が本当にあるのでしょうか。

その方法とは「現物を買い」つつ、信用取引で同じ銘柄を同じ数量「空売り」をする『クロス取引』を行うことで可能となります。

これは上記方法を取ることで「現物株を保有していることにより株主優待を得る権利が得られるメリット」と「権利取得日以降に相場が急上昇もしくは急下落しても二つの売買ポジションがお互いの利益(損失)を相殺できる」ため、結果的に売買手数料貸株料の分のコストのみで株主優待を受ける権利を得ることができます。

このため、後程ご説明させていただく「逆日歩」が発生しないかぎりは『クロス取引』を行うことによって低リスクで株主優待を狙うことができます。

では「逆日歩」が発生したらどうなるのでしょう。次項ではこの「逆日歩」というワードについて学んでいきましょう。

気をつけないといけない逆日歩

冒頭タイトルでも出てきたこの「逆日歩」という言葉ですが、そもそもどのようなケースで起こるか簡単にご説明したいと思います。

逆日歩とは?

皆様が空売りを行う際、証券会社の中ではどのようなことが行われているかというと通常は証券会社が保有する株券を投資家に貸し出すという方式を取っています。

ただし、証券会社が保有する以上に空売り注文が入った場合、通常「日本証券金融株式会社」から貸す株を調達しますが、

日本証券金融株式会社が保有している株券でも対応しきれないような数量の注文があった場合は銀行等の機関投資家等から株を調達することになるため、証券会社は機関投資家に対して株の借り料を支払う必要があります。

その借り料について空売りを行っている投資家に対して求める手数料を「逆日歩」と呼びます。

では具体的に『クロス取引』をおこなう際に起りうる注意点を下記例に基づいて解説していきます。

ある会社の株式Aの株主優待を受けるため、権利取得日当日に現物買いの注文と空売りの注文をそれぞれ1000株出したとします。この際にかかった手数料は売買手数料のみですね。

そして、無事権利取得日を経過したため、翌日に各ポジションを決済することにしました。

しかし、蓋を開けてみると同じようにクロス取引を行った投資家が多く、証券会社が保有する以上の空売り注文が入っており、逆日歩が発生することになりました。

この場合は通常貸株料を支払って取引終了だったはずが、1株あたり10円の逆日歩まで取られる羽目になったため、想定以上にコストがかかってしまいました。

このケースの場合、通常は各証券会社が取り決めている売買手数料と貸株料のみが株主優待を受けるためのコストであったはずですが、更に10000円(=1株あたりの逆日歩10×1000株)の余計なコストを払うことになったのです。

このケースでは株の数量単位を1000株に抑えましたが株主優待を受けるためには各企業で株主1人あたり優待を提供するための保有数量の基準が設けてあるため、基準数量におけるコストの増加が膨らむことや空売りが集中すればするほど逆日歩は高くなる危険性があります。

なお、逆日歩が起きやすい銘柄としては株主優待が非常にお得な銘柄や流通量が少ない株式が挙げられるため、そのような株式の株主優待を狙うためにクロス取引を行う際には逆日歩の可能性も考慮して臨みましょう。

一般信用取引を使ったクロス取引とは?

ここでは空売りによる逆日歩が発生しないようなクロス取引方法について少しご紹介させていただきます。

その方法とは各証券会社で利用できる「一般信用取引」を使った空売りでクロス取引をすることにあります。

通常空売りを行う際には貸株料の水準が低い制度信用取引による空売りが利用されますが、「一般信用取引」では利用している証券口座が保有する株式が建玉をたてられる最大値になり、他の機関投資家から融通してそれを投資家に貸すようなことはありません。

このため、「一般信用取引」で行うクロス取引には逆日歩が発生することがないことから、制度信用取引で扱える銘柄を空売りするよりも安心してクロス取引を行うことができます。

ただし、一般的に制度信用取引の空売りと比較して一般信用取引の空売りに対する貸株料の方が高いため、逆日歩が発生しなくても多少余計なコストがかかることは覚悟してください。

最後に

今回は国内株式投資でメリットが多い株主優待をテーマにしましたが、いかがでしたか。

クロス取引については初心者の方でも簡単に行うことができ、比較的低リスクで株主優待を受けることができる方法ですが、逆日歩という大きな落とし穴を見落としていた方には少しでも今後の参考になれば幸いです。

また、一般信用取引による空売りを使う以外にも日経平均株価に連動したCFDで株価の変動リスクを抑えてみるといった方法もあり、クロス取引の奥深さが伺えますね。

当然株式投資の醍醐味はインカムゲインキャピタルゲインを狙った売買だと思いますが、一方でその時その時の状況に応じた方法で株主優待も楽しみにできるような投資家にもなれるよう今後も株式投資を研究していただければと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

岩井 隆史

投資家 大阪出身 両親が海外転勤が多かったため、幼少期から海外で生活。 日本と海外での働き方の違いを感じ、会社に依存しない生き方を提唱。 株やFX、不動産を中心に投資家として活動。