資産運用の代表格と言えば不動産賃貸です。
しかし、市場がありランキングが分かりやすい投資物件と違い不動産賃貸管理をしている不動産賃貸管理会社の質ってイマイチ分かりません。
もし、不動産管理会社の賃貸管理にランキングがあったら便利だと思いませんか?
こちらの記事では、サブリースで重要視される管理力について解説すると同時に、
地元不動産と大手不動産のメリット・デメリット契約解除の流れなど、不動産賃貸管理を考えている大家さんに役立つ知識を解説します。
そもそもサブリースとは何?
サブリースとは、又貸し、転貸の事で不動産業界では、転貸を目的とした一括借上をサブリース、あるいはマスターリースと呼びます。
簡単に言うと、不動産物件の所有者が大手の不動産賃貸管理会社に契約料を支払い、貸家の修理や入居者の斡旋、家賃未納の徴収を依頼します。
大家さんは、賃料の10~20%相当を手数料として支払う代わり、煩わしい不動産管理から解放され、
不動産管理会社は管理報酬を得られるのでウィン・ウィンの関係です。
サブリースでは、物件を借りているのは不動産会社なので、空室や延滞があっても家賃収入は不動産会社が立て替えて支払う契約です。
なので、大家さんは収入面でも安定します。
しかし、サブリースには国土交通省が主導する任意の登録制があるだけで規正法がなく、2010年前半から不正契約や訴訟が発生し社会問題化しました。
これは大家さんが法律上は消費者ではなく、不動産賃貸管理会社と同様の事業者と見なされ、事業のトラブルも自己責任と考えられたからです。
ですが事実は、大家さんと言っても法律の素人であり、不動産賃貸管理会社と同等のノウハウがあるとは到底みなせず、またトラブルも減りませんでした。
そこで、2015年7月国土交通省土地・建設産業局不動産課長の名義で関係団体に対し「サブリース事業に係る適切な業務の実施について」と通知を出し、
2015年10月には国土交通省に「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」を設置。
そこでまとめられた対応策を元にして、「賃貸住宅管理業者登録規程」及び「賃貸住宅管理業務処理準則」の改正に踏み切り、
サブリース業者による大家への重要事項説明と契約成立時の書面交付が義務付けられています。
こちらに違反したサブリース業者は業者名を公開するなど、一定のペナルティが課せられています。
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2018年サブリース賃貸管理戸数ランキング
賃貸住宅の専門誌「全国賃貸住宅新聞」が毎年発表している管理戸数のランキングを見てみましょう。
以下に2018年度版の不動産賃貸業者のランキング10位までを列記します。
- 第1位:大東建託グループ 管理戸数103万6640戸
- 第2位:積水ハウスグループ 管理戸数60万7000戸
- 第3位:レオパレス21 管理戸数57万672戸
- 第4位:大和リビング 管理戸数53万5661戸
- 第5位:スターツグループ 管理戸数52万3787戸
- 第6位:東建コーポレーション管理戸数22万6016戸
- 第7位:ハウスメイトグループ管理戸数21万369戸
- 第8位:ミニテック 管理戸数18万1000戸
- 第9位:ビレッジハウス・マネジメント管理戸数9万7001戸
- 第10位:旭化成不動産レジデンス 管理戸数8万8142戸
上位にランキングしているサブリース会社は、誰でもCMで一度は目にしたり耳にした名前だと思います。
ただし、これらの管理戸数は大家さんが他社から賃貸管理を上位の不動産賃貸管理会社に乗り換えたものではありません。
サブリース会社が自社で建設分譲したアパートやマンションの管理を大家さんからそのまま請け負っているのが多数です。
ですので、戸数が多いから賃貸管理のクオリティが高いだろうと即断するのは危ないです。
➤➤➤サブリース契約はトラブルが多いってホント?注意点とリスクについて
サブリース会社のランキングだけでは分からない賃貸管理能力の見分け方
サブリース会社の見極めには、管理戸数だけで判断するのはリスクが高いと言えます。
それよりも重要なのは、空室率や滞納率、または入居トラブルが発生した場合に適切かつ迅速な対応ができるかでしょう。
これらの項目こそ、サブリース会社のランキングだけでは分からない賃貸管理能力を見分ける重要なキーワードです。
➤空室率短縮
サブリース会社選びで一番重要なのは、空室率をいかに改善するかという事です。
一般にサブリース会社と契約すると、家賃はサブリース会社の支払いになるので空室があっても家賃収入に影響はありません。
ただ、サブリース会社はボランティアで営業しているわけではないので、
立地条件が悪く入居者が少なかったり、建物が老朽化してくると家賃保証が負担になり、契約解除を宣告してくる可能性もあります。
その瞬間に空室率は大家さんの収入に大きな影響を及ぼします。
将来的に考えても、保有している物件が全て入居者で埋まっているのがベストなので、契約しているサブリース会社のデータをチェックしましょう。
ちなみに空室率の平均は、40日以内で入居率は都内だと96%が平均的な数値です。
➤滞納率改善
入居者が入っていても、家賃を滞納されてしまうと大家さんの収入は減少する事になります。
サブリース契約をしている時には、こちらも家賃収入が不動産賃貸管理業者に保証されているので、大きなダメージではありませんが、
毎月きちんと家賃を支払っている善良な入居者の手前、家賃滞納者がいるのは放置しておける話ではありません。
もっとも、一か月の家賃滞納なら「うっかり忘れた」という事もあり得ますので、滞納率を見る時には2か月以上の滞納を見るといいでしょう。
日管協短観によると、管理戸数10000戸の場合、家賃を滞納している戸数は150戸とされていて、滞納率は全国平均では1.5%です。
あなたが契約している不動産賃貸管理業者の滞納率が1.5%以上なら管理力が低いと判断していいかと思います。
➤入居者トラブル対応
日本社会に余裕が無くなったのか、以前なら笑ってすませていたような些細な近隣トラブルが重大事件に発展するケースが増えています。
入居者トラブルの内容は多岐に渡り、
- 水漏れ
- 騒音
- ゴミ出しのフライング
などがあり、深刻になると物件から次々と入居者が出ていき、空室率が上昇して不動産収入の収益モデルが成り立たなくなるケースもあります。
このような入居者トラブルに対するサブリース会社の解決能力の目安は、
- 入居者専用コールセンターを設置している
- 賃貸管理スタッフ人員の設置
等々の入居者トラブルを解消する設備と人員があるかで評価します。
ただ、そのような設備があっても人員がいなければ絵に描いた餅になります。
一般的な不動産賃貸管理会社では、18000戸につき100名の人員を配置しているようです。
大体180戸に1名の割合になりますから、こちらを目安にすると良いでしょう。
サブリースの費用対効果
サブリースではない一般的な不動産賃貸管理代行手数料は、
- 家賃集金
- 入居者募集
- トラブル対応
- 内装工事
- 修理の手配
などを含めて毎月の家賃収入の5%から7%が相場とされています。
ここからさらに空室や滞納家賃保証に入るとと別途料金が上乗せされ、家賃収入の10%から20%が手数料になります。
また、毎月の管理代行手数料は、標準的でも内装工事のコストが高いようなケースもあります。
家賃収入と比較して、手数料が高いか安いか、費用対効果を見極めて契約しましょう。
サブリースランキングに反映されない地元vs大手賃貸管理業者を比較
賃貸管理会社を選ぶ時によく引き合いに出てくるのは、地元の不動産会社か大手の不動産会社のどちらを選ぶかという事です。
結論から言うと、地元にも大手にもメリットとデメリットがあり、一概にこことは言えません。
大家さんとしては、地元不動産業者と大手のメリット、デメリットをしっかりと勘案して答えを出すのがベストでしょう。
そこで、この章では大手不動産と地元不動産のメリット・デメリットを解説します。
➤地元賃貸管理会社のメリット・デメリット
地元の賃貸管理業者のメリットは長く地元で経営している事で、周辺の物件や環境を把握している点です。
大手と比べて相対的に規模が小さい分フットワークが軽く、設備トラブルや入居者対応も早く、こちらの要望にも気軽に対応してくれます。
これらは、地元に密着している賃貸管理業者の特徴とも言えるでしょう。
逆にデメリットとしては、会社の質がマチマチという事があります。
競争が弱いので素晴らしい業者も悪い業者も混在しているのです。
そして、地元なので慢性的に人員不足というケースもあります。
求人を出しても応募がなく少ない人数で多くの物件を管理します。
決して悪い不動産会社ではないものの、人手不足から対応が遅くなるというケースが多々あるのです。
➤大手賃貸管理会社のメリット・デメリット
大手の不動産管理業者はネームバリューが高く、集客力に優れています。
膨大なノウハウを蓄積しているので、店舗への集客も安定し、空室も早めに埋まるという事もあります。
また、不動産管理がマニュアル化されているので、スタッフの質が均一であり、いつでも質の高い対応が望めます。
逆にデメリットは、担当者が人事異動で頻繁に変わる事があり、大家さんとの信頼構築が難しい事があります。
顧客情報の引継ぎが不徹底な事もあり、担当が変わる度に同じ説明をする事になりうんざりするかも知れません。
それから、大手は何十万戸という物件管理をしているので対応が遅く、全てに杓子定規になりがちです。
入居者募集以外の管理は本部が対応するのでトラブルへの迅速対応も望めません。
➤地元と大手、どちらを選ぶ?
地元と大手、どっちの賃貸管理会社を選ぶかですが、
もしあなたが不動産管理をお任せするのではなく、常に自分でも物件の状態を把握したい専業大家、セミプロを目指すなら融通が効く地元の不動産会社が向いています。
逆に不動産管理業に関与したりせず、オーナーとして全てをお任せしたいという人は大手不動産会社がベストです。
賃貸管理会社と結ぶ管理契約種類
賃貸管理会社と物件の代行契約を結ぶとしても、その種類は様々です。
あとで不要な手数料を支払う事にならないように、ここでは管理契約の種類を紹介します。
➤集金代行
最もポピュラーな賃貸管理代行契約で、大家さんに代わって家賃を集金したり、入居者トラブルや内装工事、家賃滞納の督促などを代行します。
大家さんとしての仕事をすべて賃貸管理会社が代行するサービスです。
空室保証や滞納保証については、基本契約に入っている場合と付属オプション扱いの場合があるので確認しましょう。
➤サブリース契約
上述したようにサブリース契約とは、大家さんが所有する投資用の不動産を賃貸管理会社が丸々借り上げて、その不動産を入居者に転貸する契約を言います。
賃貸管理会社が管理・保証するので、空室や滞納があっても保証賃料として毎月安定した収入が入ります。
ただ、その分支払い手数料が高くなり、正味の家賃収入は90%~80%と自分で入居者に貸すよりは低くなります。
サブリース契約で管理会社から受け取る保証賃料は、平均二年毎に見直され収益率が悪いと契約途中で減額したりするので、
契約書の賃料見直しを確認して前もって対応できるようにしましょう。
管理代行契約の解除の手続き
一度賃貸管理会社と契約を結ぶと契約を解除して、違う管理会社と契約を結び直すのは面倒なものです。
ですが本来ならば、もっと得られるはずの家賃収入が管理会社のパフォーマンスが低くて損してしまうのは嫌ですよね?
そこで、この章では賃貸管理契約会社との契約解除の手続きを解説します。
①契約の解除条件を確認
契約解除の条件は賃貸契約を結んだ契約書に条文が記載されていますので、それに従い解約手続きをします。
解約の条件については、契約内容や賃貸管理会社によって違います。
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②書面で解約通知を出す
解約後のもめ事を回避する為に口頭ではなく、書面で通知して下さい。
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③管理を引き継ぐ
家賃や敷金、入居者の賃貸借契約書や部屋の鍵の引き渡しなどの日程と方法を確認します。
⇩
④入居者への連絡
入居者に対して、家賃の振込先が新しい管理会社の口座に移行する事を書面で連絡します。
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⑤新賃貸管理会社へ管理移行
賃貸借契約書の写しと部屋の鍵を新しい管理会社に引き渡して完了です。
まとめ
不動産の賃貸管理会社選びは、単純にサブリースランキングの管理戸数の多さで決めるのは大きなリスクを負う可能性があります。
実際には、大手だから安心というわけではなく、空室率や滞納率、入居者トラブル対応など、管理戸数以外の情報も必要です。
ですので、大手と地元密着の不動産それぞれのメリット・デメリットを考慮して、自分の投資スタイルに合う管理会社を選びましょう。