最近では、誰もが賃貸経営を簡単に始めることが出来る世の中になってきました。
自分で全てを経営する方法や管理業務だけを外部に委託する方法など、賃貸経営にはいくつもの方法があり一見するととても難しい事業に思えがちですが、
最近では賃貸経営や不動産運用についての詳しい知識が無くても始めることの出来る「サブリース」と呼ばれている方法があります。
今日は、サブリースの魅力と注意点についてお話ししたいと思います。
サブリースとは?
サブリースとは、簡単に説明すると資金を出してそれ以上の経営は全て外部に託すというもの…です。
とても簡単に思えるこの方法は多くの人に利用され、不動産運用に自身のない方や知識の少ない人でも賃貸経営が現実的になります。
サブリースではない通常の賃貸経営は、物件の所有者である大家(地主)が入居者と賃貸契約を結んで家賃収入を得ます。
この場合、当たり前ですが収入は全て自分に入ります。
サブリースの場合は、物件の所有者は不動産会社(サブリース会社)に自分の建物を借り上げてもらい、不動産会社から一定の収入を得ます。
サブリースを始める時の条件
サブリースで取り扱える建物は、転貸してもらいたい建物です。
新築でも築年数が経過している建物でもその状態は問わないのですが、近年の典型的なサブリースは空き地に新築物件という建物が多く存在します。
なぜかと言うと、使っていない空き地を再利用し空き地の所有者に賃貸物件を立ててもらい、サブリースを通して土地活用をするという目的があるからです。
サブリースする会社側も工事費で利益を上げて、建築後はサブリースで利益を上げたいというのが理想なのです。
マンション(投資物件)などの購入促進でサブリースをセットにしたりと、建築+購入を前提としている営業は多く見られます。
とはいえ、物件をすでに所有している家主にもサブリースの機会はあります。
少なくなってしまいますが、既存の物件をサブリースしてくれる不動産会社は存在します。
しかし、賃貸経営がうまくいかないからというような理由だけではサブリースを受けてくれる会社は少なく、
その場合はリフォームやリノベーションを条件としたり、家賃補償額が少なかったり保証期間が短かったりとリスクは沢山出てきます。
サブリースの契約期間や賃料について
サブリースの最高契約期間は30年です。長期保証を売り文句にしているといっても過言でないでしょう。
新築物件なら長めにとり、既存の物件なら短めにと築年数に応じて契約期間を決めます。
しかし、これが売りのサブリースと言っても実際に開始当初の契約期間が一気に30年…とはいかず、
大体2~3年の更新制度や定期的な家賃の改定を定めるなど現状は厳しいのです。
賃料は、サブリースを受ける不動産会社によって多少の差はありますが一般的に実勢家賃の7~9割程度です。
差額は不動産会社の取り分になります。よって家賃収入から不動産会社の取り分を引いた額が物件所有者に入ります。
他には、入居者との賃貸契約において敷金や礼金、更新料などが収入となるわけですが、
敷金は滞納家賃の精算やその他原状回復時に使われる以外は入居者に返還するために収入とは言えず、不動産会社が預かっています。
礼金や更新料は、入居者が契約する不動産会社が受け取ります。
つまり、サブリースの場合はこれらの賃金以外に発生する収入は受け取れないことを知っておきましょう。
それでも始めたくなる!サブリースの魅力
サブリースの魅力はいくつかあります。
◆不動産の知識が少なくても始められる
賃貸経営の全てをサブリースする不動産会社に任せることが出来るため、不動産の知識が少なくても始められます。
家主がご老人で体力的に管理する元気が無くても賃貸を管理できるため、不動産会社が頼れる存在となることが魅力の一つです。
◆空室であっても賃料が支払われる
一般的にサブリースを利用すると、賃料は実勢家賃を基本に一定の割合で決められて空室であっても賃料が支払われます。
通常の賃貸経営では入居者がいない状態では収入が下がる一方ですが、サブリースを利用すると「家賃保証」が起こります。
◆入居者の管理をすべて不動産会社に任せられる
サブリースで成り立っている建物に入居する借主は、不動産会社との間で契約を結びます。
そのため、入居者についての管理は基本的に全て不動産会社が行います。
家主の負担が減ることや入居者との直接的なトラブルが起こりにくく、とても魅力的なメリットです。
その代わりに不動産会社が家主に保証する家賃は、入居者が支払う家賃よりも低くなります。
◆確定申告に手間取らない
サブリースでは不動産会社と賃貸借契約をするため、通常バラバラに入る家賃や発生する諸経費を毎回計上する必要がありません。
このシステムのおかげで支出管理がとても楽になります。
そのため、確定申告もしやすくなり税務上の手間は大きく省けます。
サブリースは魅力的なのになぜリスクが多いのか?
魅力のあるメリットが沢山あるサブリースですが、その半面でリスクも多く存在します。
代表的なリスクを挙げつつ、リスクの多い理由もご紹介します。
◆建物の老朽化に伴う賃料の引き下げ
建物の老朽化で賃料が年々下がってくることはリスクの一つと言ってもいいでしょう。
建物の老朽化は防げません。建て替えることも可能ですがその場合、費用がかさむでしょう。
常にきれいな状態にしておかなければ入居者は減っていくことは必然でしょう。
◆家賃収入が最大化できない
家賃収入が最大化できないのもリスクの一つでしょう。
不動産会社が間に入ると保証料などは全て取られてしまうため、入居者からの家賃収入は常に減収です。
その場合、契約した保証よりも上回ることのない収入金額が何年も続くため、自己経営とどちらの方が収入が上がるのか、賭けのようなものでしょう。
◆入居者を選べない
入居者が選べないということもリスクの一つでしょう。
入居者は基本的にサブリースを受けている不動産会社が選びます。
自分がふさわしくないと思うような入居者も入ってくるでしょう。
建物のイメージが崩れて入居者が減るなど、そんなリスクも考えられます。
◆不動産会社の倒産リスク
一番のリスクは不動産会社の倒産ではないでしょうか?
どうなるかは全くわかりませんので、サブリース時の大きなリスクとなるでしょう。
なぜサブリースにはリスクが多いのでしょうか?
それは、契約する物件所有者と不動産会社そして入居者の3者間に秩序を保つために沢山の条件があるからです。
ただ、不動産会社の倒産リスクは誰も想像できませんので、サブリースを選ぶためにはまず依頼する不動産会社をしっかりと選ぶことから始めましょう。
サブリースのトラブルの主な原因2つと対処法
それではサブリースのよくあるトラブルとそのトラブルの主な原因、さらには対処法を2つご紹介します。
◆家賃や退去をめぐるトラブル
家賃や退去をめぐるトラブルはよくあります。場合によっては訴訟を起こして対処していくことがあります。
原因は、様々考えられますが入居者の家賃の滞納や急な退去などでが考えられます。
ちなみに、サブリースしている場合入居者にとっては大家となるのは不動産会社になるため物件の所有者は訴訟の当事者になりません。
不動産会社が入居者とトラブルになったとしても物件所有者の収入は家賃保証で確保されます。
◆家賃保証が年々現状して赤字になるトラブル
家賃保証がきちんとなされていると思いきや、年々額が減少して最終的には赤字になってしまうケース。
物件所有者と不動産会社との間で起きるトラブルのひとつです。
サブリースでは家賃保証がなされるものの、その他の入居者から得た収入、例えば敷金や礼金、契約金などはすべて不動産会社の収入となります。
そのため、物件所有者が確実に得られる収入は保証された家賃保証金額のみなのです。
契約時に最大で30年は保証できるという売り文句でサブリースを利用したいと考えている人は多く存在しますが、
実際のところは2年毎に家賃保証の見直しが起こり、ほとんどの場合が年々金額が下がるといいます。
契約当初はこんな風になるとは思わなかった!という物件所有者の不満がトラブルになってしまうという訳です。
こうならないためにも、契約時には家賃保証についてしっかりと説明を受け、年々金額が下がることもありうるということを理解してサブリースを始めた方が良さそうです。
サブリースのリスクと上手に付き合うには?
このように、サブリースにはメリットもデメリットも同じように見えています。
サブリースが100%良くないとも、100%良いとも言えません。
サブリースを考えている物件所有者は、今から10年後を見越して良い契約ができる会社を見つけましょう。
そして、サブリースを始めた後も積極的に不動産会社とのコミュニケーションを取り、後悔しない契約を続けられるように意識してきましょう。
まとめ
サブリースを検討する物件所有者は
- サブリースについての正しい知識
- 少なからずの賃貸経営の知識
を持っている方がトラブルが起きた時に対処ができたり、万が一の時に自営にシフトチェンジすることも出来るでしょう。
そして、サブリースでは儲からないということも前提に考えながら検討することをおすすめします。