デリバティブ取引はハイリスクばかり?【中級者向け投資】

皆さんは「デリバティブ」という言葉を聞いたことがありますか?

聞いたことはあっても説明するのはちょっと・・・という方は少なくないのではないでしょうか?

そんな疑問を解決するべく、今日は

  • デリバティブとは何か?
  • デリバティブ取引とは何か?
  • どんな種類があるのか?
  • デリバティブ取引のメリット・デメリットとは何か?

についてご説明したいと思います。

デリバティブとは?

デリバティブ(derivative)という言葉は、日本語では一般に「金融派生商品」や「派生商品」などと訳されています。

金融商品には

  • 株式
  • 債券
  • 外国為替

などがあります。これら金融商品のリスクを低下させたり、リスクを覚悟した上で高い収益性を追及する手法として考案されたのがデリバティブです。

対象となる商品は、

  • 債券の価格と関係がある債券デリバティブ
  • 金利の水準と関係がある金利デリバティブ
  • オーソドックスな金融デリバティブ

から、

最近では気温や降雨量に関連付けた天候デリバティブのような新しいデリバティブも開発され、限りなく多様化されています。

デリバティブ取引とは?

デリバティブ取引とは、金融商品のリスクを低下させたり逆にハイリスクで大きな収益を得たりする手法として開発されたのが目的です。

種類としては、概して

  • 先物取引
  • オプション取引
  • スワップ取引

等があります。

先物取引は、ある金融商品を将来売買することを約束する取引のことを指し、またオプション取引はある商品を将来ある価格で売買する権利を売買する取引のことです。

スワップ取引は、将来の同じ価値のキャッシュフロー(お金の流れ)を交換する取引のことを指します。

デリバティブの種類には何がある?

デリバティブ取引は、下の図で描いている様に大きく分けて

  • 先物取引
  • オプション取引
  • スワップ取引

の3種類に分類されています。

他に、

  • 先物とオプションを組み合わせた先物オプション
  • スワップとオプションを組み合わせたスワップション

など、デリバティブとデリバティブを組み合わせた商品も多く開発されています。

◆先物取引

先物取引とは、英語ではフューチャーズ(Futures)と呼ばれ、金融商品を将来の時点で売買する予約を取引することです。

通常の予約取引の場合予約日に金融商品の受け渡しを行いますが、

先物取引では商品を受け渡す代わりに反対売買をすることによって生じる差益を受け渡します。

◆オプション取引

オプション(Option)は英語で選択権という意味です。オプション取引は物の売買ではなく、権利を売買することです。

具体的には、ある商品を将来の一定期日に、特定の価格で売買することのできる権利を売買します。

権利ですので、行使するのもしないのも自由になっています。

利益が出るならば権利を行使すればいいし、損失が出るならばその権利を放棄しても問題になりません。

オプション取引には、

  • 買う権利であるコール(Call)オプション
  • 売る権利であるプット(Put)オプション

の2つの取引があり、さらにそれぞれに売り手と買い手がいるので、オプションの売買には

  • コールの買い
  • コールの売り
  • プットの買い
  • プットの売り

という4つのタイプが存在します。

オプションを行使するか放棄するかを選択出来るのは買い手の方だけです。

コールの買いとプットの買いの方は購入したオプションを行使するか放棄するかを選択することが出来、コールの売りとプットの売りの方は買い手の意志に従うことが原則です。

◆スワップ取引

スワップ(Swap)とは、英語で交換という意味です。

スワップ取引は、将来同じ価値があると思われるキャッシュフロー(お金の流れ)を交換する取引のことを指します。

一番多く利用されるのは金利スワップや通貨スワップです。→スワップで金利生活!? 高金利通貨とレバレッジは相性抜群!

金利スワップは固定金利と変動金利、長期金利と短期金利等異なるタイプの利息を交換する取引で、

通貨スワップはドルと円など異なる通貨の将来の金利と元本を交換する取引のことです。

スワップ取引は売り手1人に買い手1人の相対取引で行われ、通常スワップの交換は複数回に渡って行われます。

デリバティブ取引のメリットとは?

◆リスクヘッジ

デリバティブ取引を活用するとリスクヘッジができるという点が一番のメリットと考えられます。

リスクヘッジとは様々なリスクに備えて軽減するということです。

例えば株式投資の場合、価格変動のリスクがあります。

ヘッジがなければ、投資家は株価が下落した分の100%の損失を受けることになります。

その損失のリスクを軽減する方法として、デリバティブ取引の株価指数先物といった商品を活用出来ます。

株価指数先物は株価が下落しても利益を出せる取引です。

通常の株式取引が下落した時、株価指数先物で下落しても利益がでるようにリスクヘッジをしておくことで、株価下落した分を先物の利益でオフセット出来ます。

◆市場流動性の改善

デリバティブ2つめのメリットは、市場の流動性を改善することができます。

何故ならば、デリバティブ取引は自己資金にレバレッジをかけて取引をするからです。

一定額証拠金を預ければ、自己資金の何倍もの金額の取引を可能としている為、市場に投入する金額が大きく増えて市場の流動性も増します。

デリバティブ取引のデメリットとは?

◆市場の変動性ボラティリティを増やす

流動性が増えると現物市場と違った思惑での売買も増えてきます。違った方向に相場が動いてしまうケースもあります。

ただ、違った方向に進むと後で必ず資金の逆流が起きて、急騰や急落の原因になってしまうのです。

言い換えれば、市場の変動性ボラティリティが増えます。

◆複雑で管理しにくい

デリバティブ取引は複雑です。元となる株式などと比べると取引の仕方が難解であるものも多いため、取引が管理しにくくなります。

さらにレバレッジを掛けて取引を行うので管理もなかなか大変です。

失敗しないデリバティブ取引のための心がけ

◆理想はリスク限定で、利益は大きいオプション取引

よくある株式投資の負けパターンとして、損切りが出来ないことによる損失拡大があります。

たとえば200万円投資していた場合に180万円に株価が下降してしまっても、いつかは上がると持ち続け、結局は160万円まで値が下がってしまったというパターンです。

この後うまく上昇すれば良いのですが、さらに下がる可能性もあります。

一方、10万円分の資金を使って権利行使価格が190万円分のコールオプションを購入したとします。

その後満期日にオプションの対象となる金融商品の価格が220万円分まで上昇していれば、220万円-190万円=30万円の利益から、コールオプションの購入に使った10万円を差し引くと20万円の利益となります。

一方、株価が160万円まで下がったとすれば、オプションを行使すれば190万円-160万円=30万円と購入価格を合わせると40万円の損失となります。

しかし、対象となる金融商品の価格が行使価格より下回った場合、オプションの権利を放棄すれば損失は10万円で済みます。

この様に、損失のリスクを10万円に限定しながら、出た利益を理論的には得ることが出来ます。

◆自分にあった投資手法を探す

どんな金融商品でも、確実に儲かる方法はありません。

いかに損失する可能性を最低限にするかが賢明な投資家です。デリバティブはそれを達成する有力な手段です。

しかし、デリバティブ商品は複雑なものも多いので、実際に取引する場合は、基本的な仕組みや特徴、 リスクや注意点をしっかり理解する必要があります。

理解できないまま取引することは避けましょう。

まとめ

デリバティブ取引は証拠金制度によって実際の資金より多くの額を取り扱うことが出来ますが、場合によっては一瞬で大きな損失を出してしまう可能性もあるハイリスクハイリターン商品です。

ですが、初心者で投資額の小さい場合、複雑な取引、かつ管理にも気を使う割りには大きなメリットが出ないと懸念されます。

ですので、投資手法の知識や情報は日本取引所グループのホームページを積極的に活用して、デリバティブ取引を確実に理解してから投資を始めましょう。

そのホームページでは無料でデリバティブ初心者の為のノウハウが説明されています。

どんな投資においても言えますが、理解出来ない、自分の力が及ばない領域に手を出さないことは、後戻りのできない大きな損失を未然に防ぐ大切なポイントです。→たった5分で分かる 株式投資初心者が知っておくべき株式の基本