この記事では、日本で見当たらない香港独特な金融商品を種類別で紹介したいと思います。
記事の内容は
- 債権投資
- ファンド投資
- IFA制度
と大きく三つに分けてご説明します。→日本株式だけに固執しない!海外株式投資のメリットとおすすめ証券会社の開設方法
香港での投資環境
香港では香港政府があらゆる金融商品を管理し、ハイリスク&ローリターンな商品を販売できないように規制しています。
リスク&リターンが比例するのは投資の鉄則ですが、日本には意外とそうでもない金融商品があります。
例えば、日本の証券会社でごく当たり前に取り扱っている投資信託などでも、香港ではリスクが高すぎて取り扱えないものが多いです。
香港当局HKMA(Hong Kong Monetary Authority)& SFC(Securities and Futures Commission)は、世界水準から見て非常に厳しく金融商品の管理をしています。
結果、香港政府管理下の金融機関では“リターンに見合わせたリスクレベルの金融商品”しか許可されていません。
債券投資
「外国債券のラインナップ」が充実している点は香港金融機関の大きな魅力の一つです。
ただし、多くの債権投資は最低売買単位が約1000万円以上と、ハードルはかなり高めですが、
売買に必要な金額の収入源を得た場合(退職金受理、保険満期金の受理など)に、2~3本の外国債券を組み合わせて購入出来ます。
又は、外国債券ファンドの場合は売買単位が100万円まで下がりますので購入しやすくなります。
外国債券の中には、定年退職した世代の人に適した物も沢山あります。
老後の収入を考える場合、年金支給がない月にクーポンを受け取れるように外国債券を選べば、年金以外にも収入源を設けることができます。
40〜50代現役の人でも、定年退職後に収入が減らないように高い利回りの債権の購入はいい対策になると思います。
債券を満期まで持てば、原則として元本割れせずに資金が戻ってきます。
株式も配当金を受け取れますが、投資した元金に対して保証はありません。その点、債券ならば安心してクーポンの安定収入を満期まで確保できます。
考慮しなくてはならない注意点「為替リスク」
香港で買える債券は、基本的に香港ドルや人民元や米ドルなど外貨建てになっているため、日本で生活する人にとって「為替リスク」が発生します。
頻繁に海外旅行する(老後に海外移住を考えている)という人は、現地通貨のまま利用することも含めて、どれくらいの金額までなら為替リスクを取れるのかよく考慮した上で投資検討をしてください。
なぜ香港の金融機関が取り扱っている債権はアジアの国全般と国際企業の社債まで網羅しているのか?
富裕層の多くが債券と投資信託を中心に運用する事と密接な関係があるからです。
日本金融機関の場合、個人が外国債券を購入しようとしても、選択肢は米国債などごく一部の銘柄に限定されます。
香港の金融機関の方が投資家にとって、ずっと魅力的なオファーが出来ます。
ファンド・保険投資
ファンド投資を紹介する前に、「マザーファンド」や「ベビーファンド」の概念を説明しておきたいと思います。
文字通り、マザーファンドとベビーファンドは親子の関係です。
日本では一般的な個人投資家はベビーファンドを通じて投資信託を購入します。
ベビーファンドに払い込まれたお金を使ってマザーファンドへ投資します。
複数のベビーファンドから集まったお金でマザーファンドが実際に債券、株式などを購入します。
日本では一般個人投資家は直接マザーファンドを購入することが出来ません。
こういう「ファミリーファンド方式」のメリットとしては、運用管理の効率化や規模によるメリットを得られる事です。
無論、どこの投資でもまとまった資金の運用で売買コストの削減効果があります。
◆積立型ファンド投資
積立型ファンド投資とは、投資商品を毎月積み立てしながら購入していく投資方法です。
香港のファンド投資は、個人投資家でもマザーファンドを直接購入することが出来る大きなメリットがあります。
購入出来る事によって大きなリターンを確保出来ると同時に、不要な手数料も省き、ファンド内容(ポールトフォリオ)も分かるためリスクが低く抑えられます。
積立型ファンドの運用は、投資資金を「効率的・安定的」に増やすことを最大の目的としていますので、定期的にファンドを買うことでドルコスト平均法による運用手法を取り入れる事が出来ます。
◆一括型ファンド投資
一括型ファンド投資とは選定したファンドを一括で購入し、ハイリターンの獲得を狙う投資手法です。
積立投資と比較すると高い利回りをロックインすることが出来ますが、その分リスクも高くなります。
無論一括投入しますので手数料は一回のみで、リターンの最大限を狙えます。現時点では、年利10%以上のファンドも少なくありません。
◆生命保険(死亡保障)
香港で販売されている生命保険は、ほとんど掛け捨て商品ではなく養老保険タイプです。
よって死亡したとき、保障金額だけではなく蓄積された資金の運用でボーナスが得られます。
契約時に解約時のボーナス返金試算表が受け取れます。
日本の養老保険では、解約時の払戻金が元本回復まで約20年近くかかりますが、
香港では8年前後で元本回復となるものが多く、その後も年の経過とともに資金は運用されますので払い戻し金は増え続けます。
◆生命保険(貯蓄型)
最低利回り保証付きの貯蓄型生命保険とは、保証された利息以下の利回りにはならない商品です。
一定の利回りが保証され、さらにそれ以上の利回りを狙えることもあり子供の学資や住宅資金のような損失を出すことの出来ない資金を運用したい場合に最適の商品です。
日本の類似商品と比べると、非常に高い安定した利回りを得られるので人気があります。
◆学資保険
学資保険は、子供の大学教育や海外留学などに掛かるお金を補助するために設計されている保険です。
一般的には、大学の教育資金が必要となる18歳から21歳までにお金を受取るように設計されますが、終身の学資保険もあるため21歳を超えても運用できる学資保険などもあります。
自分の資産状況やライフプランを保険アドバイザーに伝えた上で、最適であるプランを決定出来ます。
学資保険は加入年齢の制限があります。保険加入を考慮している人は各保険会社に連絡を取り検討して下さい。
◆レバレッジ保険
保険会社によって呼び方違うかもしれませんが、比較的に大きな資金を投資できる人に向けた富裕層向けの商品です。
特徴としては保険商品を担保にして借入の資金で保険料に当てる仕組みです。
メリットは高いリターンを確保しながら、万が一の場合に多額の資金をすぐ調達できる事で、多くの富裕層に注目されています。
香港保険会社は一般的にグローバルカバレッジになっているので世界のどこでも保険が効き資金調達できます。
以上がファンド投資と保険投資の基礎種類です。
何と言っても香港の場合一番の魅力は商品の豊富さとその柔軟性です。
香港の場合は地元の保険会社に限らず、香港に有る欧米を含む世界一流金融機関に該当します。
大口投資ならば、次に紹介されるIFA制度で個人のニーズにぴったり合ういわゆるオーダメークのファンドと保険投資も考えられます。
IFA(Independent Financial Advisor)独立系財政顧問
IFAとは、金融機関から独立して活動する資産運用コンサルタントのことを指します。
特定の銀行・証券・保険会社の営業方針に縛られないため、お客様のニーズを最優先に提案をすることができます。
IFAは商品をただ販売するのではなくお客様の観点からみて‟最良と思われる投資の選択肢を提案すること”を業界の信条としています。
費用については香港の正規ライセンスを持ったIFAであれば業界標準がほぼ決まっていて運用金額の1%、預かり資産基準報酬と呼ばれるものが要求されます。
業界ではアドバイザリーフィーと言い毎年支払われなければなりません。
日本の個人投資家がマザーファンドを直接契約するには、場合によってIFAと言われる正規代理店に仲介を依頼する必要があります。
しかし、香港など海外のIFAは金融庁から日本での営業活動を禁じられているため、日本で海外ファンドの情報を取得することが難しいのが現状です。
香港のIFA正規代理店は200社以上あります。良心的で誠実な業者もありますが、中にはSFC(香港証券先物委員会)のライセンスなしに営業を行う詐欺的な業者も存在します。
優良なIFA(正規代理店)見分け方のポイントをご紹介!
保険営業許可証の有無
保険営業ライセンスの有無はIFAを選ぶ方法として一番大事なポイントです。
お客様にサービスを提供するのに、少なくても保険とSFCライセンスが必要です。
香港には二つの保険代理協会PIBAとCIBがあります。
この二つの協会の何方かの保険ライセンスを有して初めて資産運用計画を策定し、保険商品の販売や勧誘が可能になります。
このライセンスの保有なしの無資格業者との取引はタブーです。
SFCライセンスの保有タイプと種類
SFC(香港証券先物委員会)が発行するライセンスには9種類あり、IFA業務には、タイプ1、4、9(下記説明)と関係します。
この3つのライセンスを保有するためには、3人以上の執行責任者と1千万HKDの流動資産が必要となる条件が高いため、
200社以上ある香港のIFAの中でも、この3ライセンスを同時に保有するIFAは数社しかありません。
その中で日本人スタッフを置いて対応できるIFAはさらに限られています。
ライセンスの役割についてタイプ別にご説明したいと思います。
タイプ1:有価証券取引
これはお客様の為に投資商品を斡旋したり売買したりできる一番基礎的な許可です。
この許可を得るためには特定試験の合格が必要です。
最近SFCの監査が厳しくなり、タイプ1を保持していないIFAは、MANやSuperfundなどヘッジファンドを含む単一ファンドを仲介出来なくなっています。
タイプ4:アドバイザー/投資顧問
投資のアドバイスが出来る認可です。多くのIFAがこのタイプ4のみを持っています。
タイプ9:資産管理
資産の管理サービスが出来る認可です。
タイプ9の営業許可があって初めて、IFAは顧客から運用一任勘定を受託出来、ファンドのスイッチングが可能となります。
豊富な投資経験や専門技術を要求される為、多くのIFAはタイプ9を簡単に取得することが出来ません。
❊SFCライセンスの調べ方:SFCのWEBサイト(http://www.sfc.hk/web/EN/)で、IFAの名を入力すれば、簡単に調べることが出来ます。
正規代理店の確認しよう
正規代理店はファンド会社と直接の代理店契約(媒介契約)を締結しています。
正規代理店の確認方法はファンド会社に直接照会するか、IFAで確認方法を調べられます。必ず確認しましょう。
また、ファンド会社の公式ホームページ上で正規代理店のチェックを行う事が出来るケースもあります。
ファンドへの投資代金は原則として契約先の指定口座へ直接送金します。
代理店所有の銀行口座に振り込むような要請があれば拒否してください。
リターンとリスクを忘れずに
海外ファンドの最大の魅力は、日本では考えられない「利回り」を複利で得られることです。
しかし、一括型ファンドも積立ファンドも「投資」である以上リスクがあります。一般的に考えられるのは、
- 価格の変動リスク
- 為替リスク
- カントリーリスク
などがあります。
もしIFAや代理店がリターンばかりを強調し、リスクとそのコントロールの説明がない場合は慎重に考慮すべきです。
会社の実績とサポート体制
以上の4ポイントが問題なければ、最後にIFAや代理店の取り扱っているファンドや運用実績を見ることが大事です。
理由として有名ヘッジファンドや保険会社の商品を扱うには、会社の実績だけでなくコンプライアンスや顧客へのサポート体制が整っていないと取り扱いできない商品も多数あります。
ファンドは長期に渡って契約することが前提になっていますので、特にIFAがサポート体制を持っていることが重要です。
具体的に言えば、
- 日本人スタッフ駐在
- 各種変更の手続きサポート
- 定期レポート
- オンライン口座へのフリーアクセス
などです。
最後に
おそらく以上の条件を全て満たすIFAはそう多くないと思います。
日本では広告宣伝を行っていない(行えない)ため、海外のホームページにアクセスして探し、実際に訪問して確認するのは労力も時間もお金も掛かります。
手っ取り早いのは、自分が撰択したファンド、保険会社などの推薦を得て行動を起こすか、信頼出来る友人の紹介でIFAを決めるかということです。
始まればIFAとは長い付き合いになるので、時間を使っても価値がある選択をおすすめします。