現在日本では株式の大半が電子化されているため、株式を保管するための口座が必要となります。
このため、株式投資を始められる方でまずしなければいけないことはご自身の「証券口座」を開設することです。
ただし、一口に証券口座と言っても運営する会社が違うと手数料やサービス内容も大きく変わってきてしまいます。
そこで今回は「口座開設先の選び方」や「どのように口座を開設するのか」についてご説明したいと思います。
株式の基本についてはこちらの記事をご覧ください→たった5分で分かる 株式投資初心者が知っておくべき株式の基本
どんな口座が使いやすい?
日本でもNISA(小額投資非課税制度)口座が導入されたことに加えて、アベノミクスにより日経平均株価が大幅に上昇していることから、個人の方の株式投資の熱が上昇してきているのではないでしょうか。
このため、ここぞとばかりに各証券会社はCMや雑誌で自社口座を開設してもらえるよう宣伝していますね。
しかし、上述の通り各証券会社のサービスは一様ではなく、取引手数料や独自のチャート、また投資信託の種類等も異なります。
では実際に口座開設するにあたってはどんなポイントを重視すべきかを見ていきましょう。
一番重要なのは『投資の目的』
今から株式投資を始めようと思ってこのコラムを読んでいる方は「何」を目標に株式投資を検討し始めたのでしょうか。
ある方は「自分の収入以外にも収入源を作っておきたいから」と考えていたり、ある方は「資産を5倍、10倍にしてやるんだ!」と考えていたり、それぞれの思いがあると思いますが、
では「いつまでにどのくらいの金額まで増やした結果、そのお金で何をしたい」と具体的に考えているでしょうか。
株式投資の世界では確かに1日で倍以上の金額まで高騰する株もあるため、理論上は資産を何倍に増やすことも可能です。
ただし、一日で倍増加するということは反対に半分まで減少することもありえるのです。
このため、投資を始める前には必ず「元手をいくら使って、いつまでにどのくらいの金額まで増やして、何をしたい」という目的を作ることが重要です。
そして目的が決まると証券口座のどのポイントを重視すべきかが見えてきます。
例えば「値動きの少ない安定した銘柄を購入して、配当金狙いで資産を増やしていきたい」と考えている場合は、1株あたりの金額が高い銘柄を選択することが多くなり、1回の約定金額が高額になりがちです。
このようなケースでは高額な約定金額の手数料が比較的安い証券会社の口座を開設することを重視すべきですね。
また、デイトレーダーのように一日に何度も売買を行うタイプの方は割安銘柄を選択するため、1回の約定金額は低いけれども何度も一日に注文を入れることから低額な約定金額の手数料が安い証券会社で口座を開設すべきです。
これ以外にも「株式投資をしてみたいけど最初はプロと相談しながら感覚を掴んでいきたい」とお考えの方は有店舗型の証券会社に相談したり、
一口に株式投資をすると言っても各人の投資スタイルはそれぞれの目的に基づいているものであるため、自分に合った方法を模索していくのも株式投資の醍醐味ではないでしょうか。
チャートや情報提供内容にも目を向けて
証券口座を開設して少しずつ売買をしていくと気になり始めるのはチャート機能の扱いやすさや各証券会社で提供している相場情報の見やすさといったところではないでしょうか。
こちらについては情報の受け手である皆様の感覚でどの証券会社のほうがいいというのが決まるため、一概にどのようなものが便利ということもありませんが、どの証券会社のものが一番自分に合うかを検討するために様々な証券会社で口座を開設するのも一つの手です。
基本的にチャート機能や情報配信サービスについては証券口座を開設すれば利用できるものが多く、専業トレーダーの方々の中にも売買はA証券会社の証券口座でするけど、情報についてはB証券会社のものを見る人がいるので自分の肌に合うものを探していきましょう。
証券口座 開設の流れ
これまで口座選びの基準の作り方を見てきましたが、ここからは実際に口座を開設する際の手続きや流れについて見ていきましょう。
申込方法は3種類
証券会社の口座開設申込方法は大きく分けて
- 店頭申込
- 郵送申込
- インターネット申込
の3種類です。
このなかで当然無店舗型のネット証券では「店頭申込」はできませんが、それ以外は証券会社共通の申込方法です。
また、事前に準備すべき書類として運転免許証やパスポート等の本人確認資料とマイナンバー確認資料が必要なため、申込時には必ず上記2点の資料をご準備ください。
「店頭申込」や「郵送申込」では口座開設申込書の記入と必要書類の写しをもって申込完了となります。
一方「インターネット申込」では必要書類の提出方法としてスマートフォンで撮影した画像をアップロードする方法もあるので、近くに店舗のない証券会社で口座を開設する場合やネット証券会社で口座を開設する場合はこちらの申込方法のほうが手続きをスムーズに完了させられます。
書類等に不備がなく、証券会社で口座開設の手続きが完了すると郵送で口座開設完了のお知らせと共に証券口座にログインするためのIDとパスワードが送られてきます。
あとはご自身のパソコンやスマートフォンでアカウントにログインすればすぐに株式投資を行えるようになります。
NISA口座の開設もお忘れなく
これから株式投資を始める人はNISA口座の申請もしておきましょう。
NISA口座とは2014年1月からスタートした小額投資非課税制度のことであり、「株や投資信託などで得た運用益や配当金を一定額非課税にする制度」のことで、
現在は年間購入金額120万円分の株や投資信託に対してNISA口座内で管理していたものについてはどれだけ値上がりしても非課税となります。
ここで非課税の効果を実感していただくために簡単な例を出します。
A株式が1株1,000円の時に1,200株購入するとその時点の時価は120万円ですね。(計算簡略化のために手数料等は考慮していません。)
このA株式が1株あたり2,000円まで値上がりしたときに売却すると売却価格は240万円となり、売却益は120万円(=売却価格240万円-取得価格120万円)になります。
本来通常の証券口座で管理していた場合はこの120万円の売却益に対して20.315%分の税金、つまりが243,780円を納付しなければいけません。
しかし、この一連の取引をNISA口座で管理していた場合は非課税となるため、約24万円も得することになります。
株式投資を行ううえでこの非課税制度を使うのと使わないのでは大きく手元に残る金額が変わってくるため、現在株式投資を行っている方もこれから始める方もNISA口座を活用することをおすすめします。
初心者にオススメの証券会社3選
ここまでこのコラムを読んでいただいた方で「それでもどこか使い勝手の良い証券会社を教えてほしい!」という方には、せっかくなので筆者が使いやすいと感じた証券会社を3社ご紹介したいと思います。
それぞれの特徴やどのようなトレード方法に向いているか等についても考察しておりますのでぜひご参考にしていただければ幸いです。
SBI証券
SBI証券はネット証券の中で口座開設数No.1の実績を持ち、主要ネット証券の中では手数料が非常に安いです。
また、IPO投資(新規公開株投資)の取り扱い実績もネット証券最多であることから収益チャンスが多いこともこの証券会社の魅力と言えます。
その他、株式投資とは少し話がずれますがネット証券の中では次で紹介する「楽天証券」の2社のみが現在取り扱える個人型確定拠出年金(iDeCo)も利用でき、初心者にも熟練者にも使い勝手の良い豊富なサービスがあります。
このため、とにかく初めて使うにあたっては「総合力が高い証券会社が良い」という方にこの証券会社を選択してほしいと思います。
楽天証券
楽天証券は楽天グループのネット証券であり、株式売買をするだけで楽天ポイントが貯まります。
また、取引手数料やサービスの豊富さもSBI証券に引けを取りません。
その他、楽天証券が人気な理由は同社が提供するトレードツール「マーケットスピード」にあります。
通常ネット証券会社は有料で高機能なトレードツールと無料で使えるトレードツールを用意しますが、
楽天証券では取引実績や信用取引口座を持っているなど一定の条件をクリアすると無料で高機能トレードツール「マーケットスピード」を使い続けることができます。
更にこの「マーケットスピード」内では四季報や日経テレコン21などの情報提供サービスが豊富であるため、銘柄選びのサポートがしっかりしています。
このため既に楽天会員であり、楽天ポイントも活用しながら取引をしたいという方や高機能トレードツールを無料で使ってみたいという方にはこちらの口座開設をおすすめします。
ライブスター証券
最後にご紹介させていただくライブスター証券はこれまでの2社の口座とは特徴が異なります。
こちらのライブスター証券の特徴は何と言ってもネット証券のなかで「最も」取引手数料が低いことです。
このため、これまでの2つの証券会社は総合力での評価でしたが、こちらの証券会社では「取引手数料」に特化しています。
「取引手数料」が安いということは一日に何度も売買を行う投資スタイルに向いており、数分間の間に売買を行う「スキャルピングトレード」や日中に売買を終わらせる「デイトレード」向きの口座と言えます。
基本的に株式投資はキャピタルゲインだけでなく、インカムゲインも考慮したトレードを行いますが、中には日中で売買を完結させるトレーダーの方もいるため、そのようなトレーダーを目指したい方にはこちらの証券口座が最適です。
最後に
今回は株式投資を始めるための「準備」である証券口座についてでしたが、各証券会社によってタイプが異なるのはご理解いただけたでしょうか。
また、株式投資を行うにあたって自分はどのようなトレーダーになりたいか、もしくはトレードの結果何をしたいかという観点から口座を選ぶという考えについて少しでも共感頂けたら幸いです。
私自身は最初に明確な基準を持たず、インターネットでよく広告を見るものから次々と口座開設をしましたが、やはり最終的に使う口座は2、3個に絞られたことを考えると口座開設前にしっかりと準備をしておけばよかったなと感じております。
ただ株式投資をこれから始める方は自分なりのトレードスタイルを今から確立させていくため、どの証券会社が自分に合うかは様々な試行錯誤を経た後でわかると思います。
このため、今回ご紹介させていただいた証券会社だけでなく、ご自身で見つけられた証券会社の口座を開設して比較するのも株式投資を理解するうえで重要な過程であるため、各証券会社の特徴をしっかり捉えられるよう共にこれからも学び続けていただけたら幸いです。