近年、海外不動産に投資する人が増えています。
理由としては、海外だと減価償却費制度や税制が違っているため節税が行えるからです。
海外不動産の中でも、アメリカ不動産や東南アジア不動産が特に人気です。
今回は、
- 海外不動産が果たして本当に節税対策になるのかどうか?
- 投資国はどこがオススメか?
などを詳しく見ていきましょう。
海外不動産を買い、節税するには?
まず、海外不動産だけに限らず、不動産投資全体で節税ができる可能性についてお話ししていきます。
管理している不動産を賃貸に出し、住居者がついたとします。
住居者は当然家賃を支払いますので、家賃収入が発生するのですが、
こちらの「家賃収入」を給料と一緒に合わせて計算することができるのです。
これはどういうことかというと、
不動産投資で必要な経費も確定申告をする際に計上できるということになり、課税所得を下げられます。
確定申告において課税所得を下げることで、今まで納付した所得税の還付を受け、住民税にかかる金額も少なくできるのです。
「経費」のひとくくりで計上できるのは以下の通りです。
- 管理費および修繕費
- 保険料
- 租税公課
他にも不動産を買うときに借り入れたローンの利息や建物・付属設備における減価償却費も当てはまります。
海外不動産投資で特に節税メリットがあるのは「減価償却費」を大きく計上できるというところです。
節税効果が期待できる海外不動産投資
不動産のジャンルでも、海外に着目したビジネスは高い節税効果が期待できます。
第一に、日本では減価償却費として計上可能なのが不動産の「建物」および「付属設備」のみで、土地は入りません。
さらに海外で所有している不動産においても、日本と同じように建物と設備のみ減価償却費を計算します。
一方、日本と海外の土地と建物の割合を見たとき、海外の方が建物の比率が高くなる傾向にあるのです。
アメリカを例にとってみると、築年数に左右されることなく建物の価値は大きく下がりません。
しかし日本では建物の価値はまたたく間に落ちてしまいます。
海外の中でも、東南アジアをターゲットに木造住宅を一戸建てを購入するのは簡単なことではありません。
ただし、アメリカの木造住宅では高い節税効果が望めます。
さらには築年数が22年を超えている木造物件は、4年間での償却が可能です。
すなわち、4年間というスパンで計上できることになります。
短い期間であるため、不動産の価値としてはそれほど下がりません。
そのため、購入したときとあまり変わらない値段で転売することも可能です。
節税効果を出しながら物件を他の人にゆずることができるのは、かなりの利益を生み出します。
減価償却費は、どのように計算する?
そもそも減価償却費の計算方法はどのように行うのでしょうか。
最初のステップとして、不動産を購入したら建物と付属で付いてくる設備、さらに土地の割合を計算します。
中古物件は「売買契約書」に詳しく書き記されていることがあるので見ておきましょう。
計算方法としては、建物の取得費用に対して減価償却費を求めます。
平成28年3月31日までに取得した不動産の場合、「建物設備」限定で算定法を選択できますが、
それ以降の物件は若干違うので注意してください。
違うのは「減価償却費の方法は定額法のみ適用」という点です。
肝心な減価償却費を算出する方法は「建物の取得金額×償却率」で出せます。
定率法のパターンでいうと、
(建物設備の取得価格−前年度までの償却費のトータル)×償却率
で計算します。
海外の不動産へ投資することで節税を実現させるには?
海外不動産投資にて節税するためには、どんな取り組みが必要なのでしょうか。
具体的な対策をここで紹介していきます。
外国税額控除を申告する
不動産所得にかかる税率は国によって異なるため、海外で課税された税金を納める必要があります。
アメリカの場合、
- 家賃収入の3割が源泉徴収されるか
- 確定申告を行うか
のどちらかです。
源泉徴収を選ぶと借りている人が支払いを完了させますので、オーナー本人は申告する必要はありません。
ただし、前もって「Form W8-BEN」を提出しておく必要があります。
そうしないと、オートで源泉徴収されてしまうため注意して下さい。
後者のやり方で考えている人は、確定申告の際に「どれだけ経費がかかるのか」ということを計算する必要があります。
計算することによって課税所得がわかるので、その金額を申告するのです。
さらに確定申告の際には日本と同じく
- 管理費
- 減価償却費
- 支払利息
をあわせて計算します。
中でも減価償却費は国によって税法が違いますので、不動産を行なっている国の税法をよく把握しておきましょう。
イギリスやマレーシアには減価償却制度がそもそも存在しません。
特にマレーシアだと経費として計算できるものに厳しく制約があります。
海外での税法にのっとって確定申告を行なった後は、日本でもする必要があります。
日本で確定申告をする際は、第一に、海外で得た賃貸の所得金額を日本での所得金額と合わせて計算し、税率をかけて所得税額を出しましょう。
この際に不動産を運営する際使った経費を計上することで、課税所得金額を大幅に下げることができます。
まさにこの流れこそが節税効果につながる仕組みです。
計算された所得税額から海外で支払いを済ませた所得税額をマイナスした残高が、最終的な所得税額になる
と言うことです。
つまり、所得税額と原生徴収された所得税額の差額が戻ってきます。
確定申告を行う時の注意事項としては、海外で所得税を納めたことを証明できる書類を提出しなくてはいけないということです。
他にも
- 源泉徴収票
- 確定申告書の写し
- 納税証明書
などを確定申告書と一緒に添えます。
経費として計算できる経費はどんなもの?
海外不動産投資を行う際、確定申告で「経費」として計算できるものは以下の通りです。
- 租税公課
- 損害保険料
- 減価償却費
- 借入利息
- 管理費
- 修繕費
- 交通費
- 通信費
- 新聞図書費
- 接待交通費
- 消耗品費
- 税理士へ依頼した時にかかった費用
例にとってみると「租税公課」については、コンドミニアムを買う時に納める付加価値税が当てはまります。
「損害保険料」についても海外において賃貸を借りている人ではなく、
不動産を運営するオーナー本人が加入することがあるため、経費として計算できるのです。
「新聞図書費」では現地の不動産の情報収集を行うため、新聞や本を買った時に該当します。
外国税額控除に関しての情報
海外で納めた税金は、金額の上限なしに控除できるというわけではありません。
控除される金額には上限があるため注意してください。
対象となるのは「所得税額をまとめた中で、国外の所得税額分」に限定されます。
例題として1つ考えてみましょう。
あなたがもし国外不動産所得が200万円で、国内所得と合わせると1,000万円になるとします。
その1,000万円から控除を全て引くと所得税額が140万になる場合、以下の計算式が適応されるのです。
140万円×200万円÷1,000万円=28万円
が外国税額控除に当てはまります。
まとめ
海外不動産において節税は可能かどうかについてまとめました。
結果的に、節税は可能なのですが、日本と外国だと確定申告の時期が違いますので注意してください。
アメリカは4月15日期限に対し、日本では3月15日が期限です。
ご参考にしていただければと思います